40代で退職してもその後どうにかなるものか、あるいは哀れな末路をたどるのか――。
いま40代で人生の帰路に立つ方が知りたいのは、退職後に待つ「現実」ではないでしょうか。
経験者として結論から申し上げると、大抵の場合どうにかなるものです。
ただし、40代での退職にはリスクがつきものである以上、安易な離職はあまりおすすめできません。
「退職に何を求めるか」を見極めるのが肝要です。
かくいう私も、妻子持ちの身でありながら、40代で退職した口です。
それまでは全国・日刊紙で新聞記者を務めていました。
2017年、20年勤めた職場に見切りを付け、現在に至ります。(詳しいプロフィルは最下段)
本サイトは同じ境遇に立つ同世代の方々に向け、私の経験を役立てていただくため、2019年に始めました。
掲載する情報は、実体験や取材、独学、周囲の事例などをもとにまとめたものです。
今回は「40代退職者のその後」をテーマにご紹介しますが、詳細は一部個別記事に掲載しています。
また「退職前の欠かせぬ準備」や「会社員でいるメリット」などもまとめていますので、どうか最後までお付き合いください。
※下段吹き出しの登場人物
ねこ吉:退職を目指す40代サラリーマンのネコ
みふき:筆者
Contents
40代退職その後 結論として辞めてよかった
ねこ吉
みふき
ねこ吉
みふき
私は2017年に20年勤めた新聞社を退職し、現在に至ります。
一番苦しんだのは、退職するか否かを悩んだ時期でした。
「40代で会社を退職することで、家族の未来に取り返しのつかない影響は出ないか」などと悩み抜きました。
退職後の実態について、最後まではっきりした事実がみえてこないままでしたが、当然といえば当然です。
スキルや人脈、貯金残高、求める未来の条件などは個々に大きく異なるためです。
逆に言えば、皆が等しく同じ状況に立たされるわけではないということです。
妻の同意のもと、最終的には腹をくくって40代での退職に踏み切りました。
まさに底の見えない崖から飛び降りるような心境でした。
退職に先立ち、身内や友人らからは散々脅されました。
40代での退職には一定のリスクを伴う以上、周囲の引き留め・説得はもはや通過儀礼です。
「お前のことはもう当てにしない」「何も残さない」と、両親の落胆ぶりも凄まじいものでした。
ただ本当に40代で会社を辞めてみると、世間相場とは少し違った現実が待っていました。
少なくとも私の場合、退職前よりも苦しく惨めな生活を余儀なくされたり、家族が皆不幸になるような事実はありません。
むしろ本当に欲しいものは、待っていても手に入らないことを痛感させられました。
確かに前職は新聞記者ということもあり、それなりに恵まれた環境にありました。
それでも、記者職にもう未練はありません。
私の場合は「40代でも思い切って退職してよかった」といえます。
とはいえ、繰り返しになりますが、40代での退職はリスクがつきものです。
事実、転職先も決めずに40代で退職したことで、当時に比べて収入は激減しました。
とどのつまり、人生は「何を求め、何を追うか」ということに尽きます。
充足感なのか、金銭的な安定なのか、あるいは成功者としての証なのか――。
そのあたりは人によるところでしょうが、私の場合「退職しなければ得られないものがあった」のは間違いありません。
⇒退職前の不安についてまとめた40代の退職|極度の不安は一過性【体験談】ただし予期せぬ大失敗も
という記事はこちら。
40代退職その後 得たのは閉塞感からの解放
ねこ吉
みふき
ねこ吉
みふき
40代で退職して良かった点として、最初に思い浮かぶのは「がんじがらめの閉塞感」から逃れられたことです。
通勤から出世競争に絡む社内政治に至るまで、心身をじわじわと蝕むストレスから解放されました。
ただ、本当に求めていたのは「心身ともに楽になれる環境」ではありません。
退職後に気づきましたが、私の場合、心の底から求めていたのは「時間の自由」でした。
40代での退職のリスクを恐れるがあまり、当時はむしろ「メリット」がはっきり見えていなかったわけです。
自分の意志のままに生きられる環境は、とても貴重で尊いものです。
- 可愛い盛りの子どもと過ごせる
- やりたいことに挑戦できる
- 年老いた両親も十分にケアできる
- 平日を効率的に利用できる
- (未知の世界を知ることで)知見が広がる
- etc…
仮に時間の自由が転職までの「一過性の特権」だったとしても、人生においてかけがえのない自由な時間が得られるに違いありません。
子供がまだ小学生のうちに、家族で濃密な時間を過ごせたのは何よりも大きな収穫です。
⇒40代の退職【得たもの/失ったもの】社会的信用力の低下に実害|至福の時間もという記事はこちら。
40代退職その後 家族の受け止めは前向き
ねこ吉
みふき
ねこ吉
みふき
意外に思われるかもしれませんが、改めて聞いてみると、妻は「退職してくれてよかった」と話します。
もちろん、相談した当初は困惑するばかりで、何とか踏みとどまるよう説得されました。
話し合いには1年かかりましたが、最後はむしろ妻が退職に背中を押してくれました。
金銭的な部分だけでいえば、いまのところ、とても成功したとはいえません。
私の退職後、妻もパートに出て生活費を稼ぐようになりました。
家計を支える一家の大黒柱は、(2020年現時点で)紛れもなく妻です。
それでも妻が40代での退職を前向きに受け止めている理由は、大きく3つあります。
- 夫である私の健康の回復
- 夜遅くまで帰りを待たされない生活
- 育児や家事への参画
たまに喧嘩もしますが、夫婦仲もまずまず良好です。
⇒妻の感想をまとめた40代退職|妻の理解が最初のハードルに|いまの暮らしの受け止めは?という記事はこちら。
40代退職その後 後悔はあまりない
40代で妻子持ちの身ながら、20年以上勤めた会社を退職したこと自体に後悔はありません。
ただし私自身、「会社を辞める前にやっておけばよかった」と反省している点はいくつかあります。
大きく以下の3つです。
- 預貯金の積み増し
- 各種公的支援策の下調べ
- 転職市場の徹底したリサーチ
とくに、退職前の下調べを怠ると「助成金の取りこぼし」などが起こりがちです。
また、転職ありきの退職の場合は、在職中に次の行き先を決めておくのが鉄則です。
仮に、自分の経験とスキルが生かせる転職先が見つかったとしても、無職の立場で求人に応募した場合、給与などの労働条件で足元を見られるケースがあります。
⇒退職にまつわる後悔については【40代退職に後悔なし!】ただし「やっておけばよかったこと」は3つあるという記事に詳しくまとめています。
40代退職その後 失ったのは安定
ねこ吉
みふき
ねこ吉
みふき
40代で退職した後、失ったものは少なくありません。
大きく2種類に分けられます。
ひとつは、古巣に置いてきた財産です。
- ベテラン社員としてのキャリア
- 肩書
- 人脈
- 決まった日に支払われる給料
- 自由に使える経費
- 名刺一枚で誰にでも会える特権
- 指示通りに動く部下や後輩
いずれも一度手放せば、二度と戻らないものばかりです。
ただし、いまの私からすれば「惜しいもの」であっても、「必要なもの」ではありません。
もうひとつ、失ったものは「会社員だからこそ得られる特権」です。
- 安定した収入
- 老後の安全保障
- 社会的信用力
とくに社会的信用力の低下は、銀行融資の金利が不利になるばかりではなく、「マンションの賃貸審査に通らない」など実害を伴うものです。
フリーランスの方々が負うリスクともいえますが、下手をすれば「住む場所を確保するのも難しい」のが実態です。
ただし、いずれも会社員に復帰すれば取り戻せる特権ともいえます。
⇒このあたりの詳しい話題については40代の退職【得たもの/失ったもの】社会的信用力の低下に実害|至福の時間もという記事にまとめています。
40代退職その後 会社員の特権
ねこ吉
みふき
ねこ吉
みふき
会社員のメリットは決して小さくありません。
個人事業主への道を選ぶ場合、会社員である恩恵は必然的に受けられなくなったり、弱まったりします。
以下に一例を示します。
- 健康保険、厚生年金保険に加入できる
- 雇用保険や労災保険に加入できる
- 所得税の確定申告が不要
- 所得税、住民税の納付手続きが不要
- 福利厚生の利用が可能
- 健康保険の傷病手当金が出る
- ローンが組める
また会社員を離れると、将来設計にかかわる大きなアドバンテージを失う異なります。
- 安定した収入
- 老後の安全保障
- 社会的信用
「フリーランスには何の保証もない」とよく言われますが、実態としては半分正解で半分不正解といったところです。
低所得者層に対する国や自治体の支援策は割合充実していて、とくに子どもの教育支援は手厚い制度設計になっています。
ただ一般論として、会社員ほど安定しないのは確かです。
脱サラを模索する方で、もし「安定」を手放せないようであれば、会社員であるメリットを見つめなおし、退職後の身の振り方を「転職」の方向に切り替えるのがおすすめです。
無職転落へのリスクも最小限に
40代での退職で最大のリスクといえるのが「無職への転落」です。
転職活動がうまくいかなかったり、自営に失敗するなどしたときに、現実的に起こり得るシチュエーションです。
自分ばかりではなく、家族の病気などにより働く機会を失う可能性も否定できません。
そうしたリスクを最小限に抑えられるのも、会社員の特権といえます。
40代退職その後 他者の事例
ねこ吉
みふき
ねこ吉
みふき
旧態依然とした終身雇用の枠組みはいまだ健在ですが、その牙城が揺るぎ始めているのも事実です。
総務省の調べによると、転職者数は年々増加傾向にあり、2019年の月次平均は351万人に達しました。
同省が労働力調査を始めて以来、過去最高の規模となり、うち35歳~44歳の転職者は66万人、45歳~54歳は57万人といずれも高い水準をキープしています。
いかに多くの人が退職を決め、新天地に活路を見いだしているかがお分かりいただけると思います。
ここまで「転職と独立の両にらみ」で会社を飛び出した私の事例をご紹介しましたが、スキルや貯金残高、キャリアプランなどには個人差があり、40代で退職を決めた結末は当然一律ではありません。
前述の通り、40代退職者数は数十万規模に達します。
ここでは、少し客観性を高めるため、40代で退職した他の方の事例にいてケース別にまとめてみました。
転職のケース
最初にご紹介するのは、某ハウスメーカーを40代で退職し、一般社団法人(インフラ系の外郭団体、職員数約200人)に転職したFさんのケース。
私が現役時代に取材などでお世話になった人物です。
Fさんは、厳しい競争にさらされた前職での営業の経験を生かし、同団体がテコ入れを目指していた「営利事業」で存在感を発揮していました。
本人いわく、古巣ではあまりパッとしなかったそうですが、転職先では50代で出先事業所(職員数約10人)のトップにまで上り詰めました。
「ごぼう抜き」とまでは行かないまでも、そこそこ出世した形です。
👉ポイント
40代で退職を決めた方のなかでも、「厳しい組織」からいわゆる「ぬるい組織」への鞍替えできた人は、安定した地位を築くケースが目立ちます。
Fさんはその典型。
ほかに身近なところでは、認定こども園に引き抜かれた市の職員など、規制側の動きに詳しい人材などが厚遇されています。
「即戦力として使える人」というのが共通点です。
企業文化の違いには要注意
ただ、前職と転職先の間に横たわる「コスト意識の温度差」や「企業文化の違い」が裏目に出ることも少なくありません。
総合商社に在籍中、エネルギー事業者からヘッドハンティングを受け、40代で営業マネージャーに転身したYさんは「カルチャーの違いには面食らった。正直、馴染めない」とこぼします。
自らの営業スタイルを転職先の慣習やルールに封じられ、実力が発揮できずにいる形です。
下調べには限界があるのも確かですが、企業文化との親和性には注意が必要といえます。
このほか、実績と能力を過信するあまり、会社を辞めてから転職活動を始める人が躓くケースもみられます。
マーケティング部門の管理職を志望するAさんの場合、求人自体がみつからず「当面の生活費をアルバイトで稼ぐ不本意な状態になった」そうです。
独立のケース
大手フットサルスクールを退職・独立し、自身の地元関西でフットサル場を経営するに至ったSさん。
経営のイロハは独学で覚え、ここ数年、生徒数・利用者数ともに右肩上がりに伸びています。
ところが「脱サラに成功したとはまだ言えない」とSさんは話します。
いわく「コートの広さが決まっている以上、生徒数・利用者数には上限がある。そのうえで、経営の多角化、(零細企業固有の問題である)優秀なスタッフの確保など、常に問題の解決に追われているのが実態」なのだとか。
Sさんは「向かう先にゴールはない上、地雷だらけ。経営者には会社員にはない苦労があることを日々痛感させられている」と苦労を語っています。
脱サラの道を歩んだもう一人の知己、ある協同組合を40代で退職し、地元にヨガスタジオを開業したGさんも、終わりなき経営の難しさを口にします。
某協同組合の課長職にあったGさんは、40代で独立・開業するに当たり、友人・知人はもちろん、退職の家族にさえ相談しなかったという珍しい人物です。
開設からすでに10年以上たつスタジオはいまも健在ですが、「常にリスクと隣り合わせ。会社員の方が楽でよかったかも」と振り返ります。
👉ポイント
脱サラに成功した人の話は、総じて「会社運営にはゴールがない」という現実を印象付けられるばかりです。
実際、不測の事態にすべてが破綻するリスクと常に隣り合わせであり、また、社員による会社の乗っ取りなど、耳を疑うようなエピソードも漏れ聞こえます。
一時的に生活が安定しても、成功したとはいえないわけです。
正社員を雇用すると、経営に対する責任は一段と重みを増します。
つまり事業を軌道に乗せるよりも、事業を継続するのに神経を使うわけです。
出戻りのケース
一度は40代での退職を決め、他社に再就職したものの、再び古巣に戻るパターンも見受けられます。
いわゆる「出戻り」です。
私の古巣にも、そんな先輩がいました。
Yさんという記者です。
記者職からコンサルタント職に転身した後、当初聞いていた労働条件との乖離から、出戻りを決めた人物です。
全員に頭を下げて古巣に復帰した後、「裏切りを挽回する活躍」を見せていました。
その後、年齢相応に管理職に昇格しています。
ただ、すべてチャラとまではいかず、肩身の狭い思いは避けられません。
👉ポイント
出戻りも一つの選択肢です。
ある意味で、もっとも確実な「再就職先」といえそうです。
ただし、いわゆる縁故採用のようなレッテルを張られるのも、ある程度覚悟せねばなりません。
ある種の裏切りに固執する人が必ず出るとみておくべきです。
ただ「退職理由」や「個人の魅力」、「業種」に左右されるところが大きいのも事実。
多少のペナルティに耐えられるかどうかが、ひとつの判断基準になります。
40代退職その後 辞める時は準備万端で
退職後の予定をまったく立てずに辞めてしまうと、先ほどご紹介したAさん同様、泣きをみる可能性も否定できません。
やはり、再就職ありきで退職する場合、在職中に転職先を決めておくのがベストです。
もし退職後に転職活動を始める場合でも、事前に必ず確認しておかねばならないことが3つあります。
- 確保できる住居の有無
- 貯金残高
- 健康保険への加入
私の場合、あらかじめ家賃の安い貸家に越しておきましたが、無職やフリーランスの立場になると、住居を確保するのさえ難しくなります。
また生活資金は、退職後の転職活動の生命線になるため、在職中の貯金の積み増しが欠かせません。
最低でも何もせずに1年は過ごせる預貯金を用意しておきたいところです。
⇒退職前に必要となる貯金の積み増しについて個別にまとめた記事はこちら。
健康保険への加入も必須です。
健康保険がなければ、病気を患ったり、けがを負ったりすると、医療機関の窓口で100%支払うことになります。
いずれにしても、40代の退職をめぐっては、勢いに任せずに準備万端で臨み、あと腐れなくきれいに辞めるのがおすすめです。
スマートな退職は、社会人としてのマナーにとどまらず、後々プラスになるケースも少なくありません。
40代退職その後 まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は40代退職のその後について、私の経験談を中心にご紹介しました。
ポイントごとに個別記事もまとめていますので、興味のある方は合わせてご一読願います。
本稿のまとめは以下の通りです。
- 40代で退職しても大抵の場合何とかなる
- ただし何を求めてやめるのかを見極めるのが重要
- もっとも苦しんだのは退職するか否かを悩んだ時期だった
- 収入は激減したが時間の自由が得られた
- 失うものも多い
- 会社員を続けるメリットも大きい
- 家族と過ごす濃密な時間が人生の財産に
- 妻も40代での退職に肯定的な立場
- 一時的に成功しても無職転落へのリスクと隣り合わせ
- 再就職ありきの退職は在職中の転職が鉄則
- 場合は準備を周到に行うべき
最後までお読みいただき、ありがとうございました。