【40代退職に後悔なし!】ただし「やっておけばよかったこと」は3つある

長年勤めた会社を40代で退職し、転職や脱サラを目指すとき、「失敗すればきっと後悔する」と考えてしまうものです。

とくに日本は終身雇用の時代が長く続いてきただけに、40代での退職は「無謀(むぼう)な賭け」と捉える風潮がいまも根強く残っています。

いまだに転職を「一種のドロップアウト」とみる向きがあるのもそのためです。

 

かくいう私は2017年、40代家族持ちにして会社を退職した口です(最下段にプロフィル)。

20年勤めた会社を離職するまでは、新聞記者をやっていました。

転職と独立の両にらみで会社を辞めた結果、収入は激減しましたが、あまり後悔はありません

ただし「会社を辞める前にやっておけばよかった」と反省しているポイントは3つあります。

実際、退職前の下調べ不足がたたり「数十万円に及ぶ助成金の取りこぼし」が発生しました

今回は「退職前にやっておけばよかった3つのこと」についてまとめました。

身動きが取れない 40代退職の窮状

40代になると、身動きが取りにくくなるものです。

とくにローンを組んでマイホームを手に入れた人は、思い切った行動に出るのが難しくなるのではないでしょうか。

ただし、家族の生活を守る決意や出世への意欲に無理がたたり、心身の健康を損なってしまっては本末転倒です

 

厚生労働省がまとめた「精神障害に関する事案の労災補償状況」によると、平成30年度の請求件数は1820件で前年度比88件の増となり、うち未遂を含む自殺件数は200件に達しました

とくに40代の精神障害に関する事案の労災補償は毎年、請求件数ベースで最も多く、原因も「上司とのトラブル」が不動のトップになっています。

このショッキングなデータは、人間関係にも「許容してはいけない限度とリスクがある現実」を物語っています

上司とのトラブルで退職する人の全体像をまとめた記事はこちら

 

いずれにしても、心当たりのある方はまず、心療内科での受診・治療をおすすめします。

身の振り方を考える時間はいくらでもあります。

退職は結論を急がず、じっくり向き合うのがおすすめです。

40代退職ってどうなの?体験者の感想

実際に40代で独立・転職に踏み切った人らの気持ちとは、いったいどんなものでしょうか。

いま退職の二文字がちらつく人からすれば、少し気になるところに違いありません。

相場観としては「軽い決断ではない」「辞めても何とかなる」というあたりです。

Twitterから、40代退職者の断片的なつぶやきを抜粋しました。

Twitterより

40代男性の退職理由は千差万別。

厚生労働省の調査でもその実態はつかみきれずにいます。

このつぶやきは「貴重な人生の残り時間に気づいてしまった」ということでしょうか。

確かに危うい未来からくる焦燥感は、若年層特有の心理状態ではありません。

退職経験者の立場からも、共感できる内容です。

 

「チーズはどこへ消えた?」は、昔流行ったビジネス書で、変化に取り残されないための教訓をまとめたものです。

今まで通りにチーズが出てこなくなった部屋に居残るか、それとも、変化を受け入れて新天地を目指すか――。

どちらを選ぶのが正解かはさておき、一歩踏み出せば別の世界が待っているのは間違いありません。

 

不安を克服し、会社を離れた40代の女性。

「一歩踏み出してよかった」という言葉の裏に、人生の行きがみえます。

人生に充足感を感じない人は、このあたりで冒険の選択肢を入れてみてはいかがでしょうか。

夢想するばかりではなく、転職先を具体的に調べてみるだけでも違います

 

給与や待遇、人間関係などへの不満を解消するため、転職を希望する人は大勢います。

その一方で、人生を変える目的で、長年勤めた会社を去る人も少なくありません。

40代で会社を退職した私もこのつぶやき同様、自分のために生きる毎日を実感しています。

結果的オーライ!?悔いなき理由

私自身、新聞社に勤めていた頃は人並み以上の収入がありました。

退職するに当たり、友人、知人からは「20年も勤めた会社を辞めるなんてもったいない」と言われたものです。

実際、収入は当時の3分の1以下に激減し、老後の安全保障や社会的信用力なども失いました。

とくに古巣に置いていったものは、もう二度と戻りません。

それでも、思い切って会社を退職したのはトータルでみて「正解」だったと感じています

 

私の場合、退職のメリットとして最初に思いつくのは「ワークライフバランスの改善」です。

仕事偏重だったワークライフバランスがプライベート側に傾き、「自由な時間」が格段に増えました

(フリーの立場でわずかな収入を得ながら)転職活動に向き合った私にとって、「自由な時間」はまだまだ一過性のものです。

ただ、これほど貴重で贅沢なものはないと痛感しています。

自由な時間は私の人生そのものになりつつあります

 

もし「新聞記者」として再就職先を探していたならば、もっと別の思いが生まれていたかもしれません。

退職して「生き方」を変えたみた結果に満足しています

 

いわずもがな40代は人生の折り返し点です。

正解は個々人の価値観の中にしか見いだせません。

「人生は生きるに値する」と思えなくなった人は、別の生き方を模索するもの悪くないと思います

40代で退職して「得たものと失ったもの」をまとめた記事はこちら

やっておけばよかった!退職前の悔やまれる失敗

40代で妻子持ちの身ながら、20年以上勤めた会社を退職したこと自体にあまり後悔はありません。

ただ「会社を辞める前に前にやっておけばよかった」と反省するポイントが3つあります。

  1. 貯金の積み増し
  2. 各種公的支援策の下調べ
  3. 転職市場の徹底したリサーチ

以下、具体的にまとめました。

後悔①貯金の積み増し

40代で退職する場合、貯金は必須です

転職を目指すときも、そうでない場合も、貯金は生命線になります

上積みしておいて、決して損はありません。

私自身「もっと積み増ししておけばよかった」と後悔しています。

 

会社を退職し、一時的に組織の庇護から離れると、税金や社会保険料は自分で納めねばなりません。

実はこれが結構な額です

特筆すべきは退職1年目の納付額。

私の場合、給料が相場以上だったこともあり、「市民税」「県民税」「健康保険」(任意継続)の3点セットだけでも納付額は100万円を超えました。

市県民税の類は前年の収入を基準に納付額が決まるため、収入の発生しない転職活動中は実質、貯金を切り崩して支払うことになります。

また健康保険料に至っては、会社負担分も自腹で納める形なるため、「現在の支払額の倍」に跳ね上がります。

たとえば、毎月2万円程度納めている人は退職後、4万円程度に膨らむイメージです。

 

一方、所得が乏しくなるにつれて「累進課税制度の恩恵」が受けられるようになり、市民税、県民税、国民健康保険なども安くで済むようになります

所得税も一定以上の収入がなければ免除され、確定申告も不要になります。

ただし、税金は「収入見合い」と安心するのは早計です。

たとえば、国民年金保険料や自動車税の類は、収入の多寡を問わず、一律での納付が求められます

とくに国民年金は1年で約40万円と、とても重い負担になります。

この点に配慮し、国民年金には低所得者層に対する免除制度が設けられていますが、追納しなければ将来の受取金額を減額される仕組みになっています

比較的潤沢な貯えをもって、脱サラと転職の両にらみで会社を退職しましたが、退職金はたった2年で消し飛びました。

 

さらに家計を圧迫するのは、想定外の出費です。

大物家電や車、家財道具などの買い替え、冠婚葬祭、親戚付き合いなど、それこそ枚挙にいとまがありません。

パートナーの収入にもよりますが、少なくとも1年は生活できるだけの貯金が必要です

 

転職活動が長期戦に突入したときもまた、貯金が生きてきます。

転職活動のタイムリミットは事実上、貯金残高がゼロになる直前。

この「玉切れ」を理由に、場当たり的に転職先を決めてしまうのだけは避けたいところです。

仮に再就職が決まったとしても、一般的に入社後半年から1年間は賞与が出ません。

 

また貯金は、いわばお金に対する不安から身を守る「精神安定剤」の役割も果たします。

退職後に転職活動を始める方は、長期戦、あるいは「脱サラへの方向転換の可能性」も視野に入れ、貯金だけはしっかりと上積みしておくことをおすすめします

 

ねこ吉

転職活動を始めるなら、退職前と退職後のどっちがいいの?
退職前に次の仕事を決めておくのが無難だね。ただ在職中は仕事に縛られる分、転職活動にも制約がでてくるよ。

みふき

ねこ吉

逆に退職後は、じっくりと次の仕事を選べるってこと?
そうなるね。ただし長期戦になれば貯金が目減りする上、自分の求める条件にあった再就職先が見つかる保証もないよ。一定のリスクを伴うわけさ。

みふき

ねこ吉

なるほど、一長一短があるんだ。
退職理由も大きな判断材料になるよ。たとえば、いま以上の条件で転職を目指す場合は、やはり退職前がおすすめだね。

みふき

後悔②支援策の下調べ

日本では、自動車税や国民年金のように一律で納付を義務付ける制度が幅を利かせる一方で、低所得者をバックアップする支援策もあります。

ただ、役所は「申請主義」を貫いているため、制度の存在を知らなければ、その恩恵を受けることができません。

恥ずかしながら、私もこうした支援策の存在を知らなかったため、補助金を随分取りこぼしました

取りこぼし分はざっと見積もって、数十万円程度の規模に達します。

 

とくに、小中学生のいる家庭への支援は手厚くなっています。

たとえば地元市町村では、給食費の免除や学費の補助などが受けられる「小中学校就学援助制度」が設けられているほか、児童会費の減免措置なども用意されています

転職活動中で一時的に収入が断たれる場合、こうした支援制度の受給を申請せぬ手はありません。

 

退職を検討するのであれば、少なくとも「小中学校就学援助制度」のワードだけでも覚えておくべきです。

緊急事態宣言以降は、申請時期に限らず4月分からの支給になるなど、使い勝手もよくなっています。

「今年度入学を迎える子どもがいる」「修学旅行に行く6年生がいる」など、条件次第で毎年支給額が変わり、年間数万円から十数万円の支給が受けられます

ただしこの制度、「所得水準を学校に知られるのが嫌」という人にはおすすめできません

後悔③転職市場のリサーチ

私にとって、退職前の最大の「手抜かり」は、転職市場のリサーチを軽くみていたことです

とくに転職市場の相場観を知る上で必須といえるのが「転職サイトへの登録」といえますが、その重要性・有用性に気が付いたのは退職届を提出した後でした。

転職サイトを活用した情報の収集は、ある種の「スキル」が求められます

ハローワークに設置されている「求人端末」もしかりで、読み込むほどに選別眼が鋭くなっていきます

ここは経験者ならではの情報としてお伝えできますが、粘り強く真剣に読み込む癖をつけると、不思議と金脈は見えてくるものです

 

また、退職前に転職市場の相場観をつかむことで、離職を踏みとどまる人も少なくありません

「いま置かれる立場の優位性」や「自社の条件の良さ」を再発見するためです。

 

ただし、転職サイトの登録に当たってはひとつ注意が必要です。

転職サイトは星の数ほどありますが、実はそれぞれ得手不得手があり、共通の情報が網羅的に発信されているわけではありません

40代以上の求人に至っては「大半のサイトがカバーできていない」のが実態です。

大手は割と網羅的に扱っているため、扱う情報量も多い傾向にあります。

 

一方、中小零細企業の職探しに関しては、求人誌の活用がおすすめです。

ハローワークへの求人の仕方を知らない経営者は少なくありません

掘り出し物の求人もあるため、必ずチェックするのが得策です。

 

40代の転職をめぐってはもうひとつ、職務経歴書(自己PR)や志望動機書の書き方にも工夫が必要です。

それぞれ別記事で徹底解説しています。

記者としての経験を生かし、かなり実戦的な内容にまとめていますので、是非参考にしてください。

職務経歴書の書き方を詳しくまとめた記事はこちら

志望動機の書き方・見つけ方を詳しくまとめた記事はこちら

40代で退職 妻の受け止めは?

退職から3年たちますが、妻との関係はいまのところ良好です。

話を切り出したときは猛反対されましたが、いまはむしろ「あの会社を辞めてくれてよかった」とさえ言い切ります。

妻が話す退職のメリットは5つあります。

  • 心身ともに健康になった
  • 遅くまで帰りを待つ必要がなくなった
  • 子どもの面倒を見てくれるようになった
  • 家事を手伝うようになった
  • 休日の余暇を家族と過ごせるようになった

 

なかでもとくに大きいのは「健康面」といいます

確かに現役時代は、突然耳が聞こえにくくなったり、湿疹(しっしん)だらけになったりと、体調がまともなときの方が少なかったように思います。

毎日ストレスにさらされ、常に何がしかの薬を飲んでいました。

いま思えば相当無理を重ねていたに違いありません

妻もそんな私の姿がみていられなくなったのでしょう。

我が家の場合、40代での退職は、家族にとってプラスになったといえそうです。

退職後の失敗と後悔は別問題?

「転職先の給料」を基準に退職の成否を見極めようとする風潮もありますが、そもそも、40代の退職理由は往々にしてそんな枠にとどまりません

厚生労働省によるアンケート調査でもその実、離職理由は「その他」に集中していて、正確な実態をつかめずにいます。

その背景にあるのは、40代の退職は極めてデリケートな問題であり、本音が表に出てこないという現実です

私自身、退職理由を一言でいい表すのは難しく、「人間関係への嫌気」「家族との時間の確保」「人生観の変化」など、ありふれた理由をいくつも並べる格好になります。

後段で詳しくまとめますが、仮に給与の水準をアップ、もしくは維持したいのであれば、在職中に転職先をリサーチし、事前に次の仕事を決めておくのが無難です

ハローワークへの取材などで明らかにした「40代退職理由」の記事はこちら

周囲にみる「後悔のケース」

40代での退職で後悔するか否かは、個人の能力差や運ばかりで決まるものではありません。

最初の分かれ道は「退職の動機」です。

収入を犠牲にしてでも「精神的負担の軽減」や「プライベートの充実」を求める人の方が、退職の後悔を語ることが少ないように思います

私自身も前述の通り「退職後の後悔とその後の失敗は別の問題」だと考えています。

退職前よりも年収が落ちれば「転職は失敗」と捉える風潮さえありますが、本人が何を求めて巣立ったかが重要ではないでしょうか。

 

ひるがえって、キャリアアップを目指して畑違いの会社に転職した友人・知人の口からは、あまり良い話を聞いたことがありません。

成功したといえそうなのは、「厳しい職場」からいわゆる「ぬるい会社」への転職を果たしたごく一握りの人です。

雇う側も雇われる側も、過大に期待している節が目立ちます

  • 最初に提示された条件と違う
  • お堅い企業文化に馴染めない
  • 法的にグレーな仕事だった
  • よそ者扱いされる

これは、異業種からの「引き抜き」に応じた人にも同じことがいえます

もちろん万人に当てはまる構図ではないのでしょうが、私が知る限りでは「ふたを開けてびっくり」という印象がぬぐえません。

 

そうした点を踏まえ、ちまたでは「事前に社風を調べておくべき」といった意見もありますが、畑仕事の会社に転職する場合、限界があるのも確かです。

あくまでも個人差はありますが、虚栄心を追いかけて会社を飛び出すのは、一般的にリスクが大きいといえそうです。

40代退職に後悔なし まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は40代での退職に後悔はなくとも、会社を辞める前にやっておくべきだった3つの反省点についてご紹介しました。

まとめは以下の通りです。

  • 会社を辞めたこと自体に後悔はない
  • 貯金の上積み、公的支援策の下調べ、転職市場のリサーチはしておくべき
  • 40代退職の本音はなかなか表に出てこない
  • キャリアアップを目指し他業種に転職するのはハードルが高い
  • 退職前後の給与水準だけで転職の成否は決まらない
  • 退職後の自由な時間は宝
  • 妻は40代での退職を前向きに受け止めている

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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