分の悪い勝負に負け続ける格好で、精神的に追い詰められていく40代の転職活動――。
40代の中途採用をめぐる現実の厳しさにある程度の覚悟があったところで、書類選考の時点で落とされてしまうのは、キャリアがあるほど落ち込むものです。
ただ連戦連敗を続けている40代の方は、「職務経歴書」のどこかに問題があるのかもしれません。
裏を返せば、書き方次第で事態が好転する可能性はあるということです。
申し遅れましたが、私も妻子持ちの身でありながら、40代で長年勤めた会社を退職した口です。
20年間、全国・日刊紙の記者を務めていました。
皆様と同じ境遇に立つ一方で、ライティングに関しては、20万人の読者を相手に日々研鑽(けんさん)を積んできた身として、一日の長があります。
後進も10人ほど指導してきました。
そんなプロの端くれとして今回は、職務経歴書の選考通過率を格段に高める技術を徹底解説します。
簡単に説明すると、職務経歴書の見せ場となる自己PRについて、採用担当者好みに味付けする技です。
材料集めには多少の労力が必要ですが、そんなに難しい作業ではありません。
他にはない「秘策」も公開しています。
書類選考で何度もはねられている方は、以下に解説する方法を試してみてください。
ただし、基本を押さえた上での「技」になります。
本気度の高い方は、どうか最後までお付き合いください。
※下段吹き出しの登場人物
ねこ吉:退職を目指す40代サラリーマンのネコ
みふき:筆者
Contents
【40代中途採用】履歴書と職務経歴書の違い 重要なのは?
ねこ吉
みふき
ねこ吉
みふき
40代中途採用をめぐる書類選考の通過率は、応募者自身の価値をいかに上手にみせるかによって、天地ほどの差が生まれます。
実は40代の転職に、学歴はあまり関係ありません。
企業が求めるのは、あくまでも「即戦力としての価値」です。
提出書類の内容も、そこに照準を合わせなければなりません。
では履歴書と職務経歴書、2つの応募書類のうち、採用担当者からみて選考の重要な判断材料となるのはどちらでしょうか。
もちろん「職務経歴書」の方です。
履歴書はいわば応募自身の「プロフィール」を伝えるための資料で、フォーマットに従って学歴や職歴、資格などを時系列で列挙していくもの。
履歴書に記載する基本情報は、スーパーに陳列される加工食品でたとえると、パッケージ裏側に印字される「原材料名」に当たります。
当然ながら、原材料名は変えることができません。
これに対して職務経歴書は、客観的な事実に基づき、商品の魅力を訴求する「商品説明」や「キャッチコピー」としての役割を果たします。
消費者の購買意欲を刺激する「商品説明」や「キャッチコピー」には、いくらでも工夫の余地があります。
つまり、一発勝負の書類選考で工夫のきくポイントは「職務経歴書の自己PRにまつわる情報」、この一点に限られてくるわけです。
事実、履歴書を選考の判断材料にしない企業もあり、内定後に扱う「人事情報の一資料」にとどまるケースもみられます。
ちなみに、「志望動機」も選考通過のカギを握る重要な情報ですが、職務経歴書とは別に「志望動機書」を1枚の紙にまとめて提出するのが鉄則です。
志望動機の書き方・見つけ方は、以下の個別記事で徹底解説しています。
履歴書の手抜きも致命傷に
40代中途採用の採否を決めるに当たり、採用担当者からすれば、履歴書を確認する必要性はほとんどありません。
前述の通り、選考の判断材料にしない会社があるほどです。
とはいえ、履歴書の手抜きは厳禁です。
何より、「履歴書は使われない資料」と高をくくると、取り返しのつかない失敗を招きかねません。
とくに怖いのは、履歴書の手抜きでマイナス評価を受けてしまうことです。
40代の中途採用はただでさえ、年齢のハンデを負っての挑戦になります。
履歴書の使いまわしはもちろん、「誤字・脱字」「空欄」「修正液での上書き」などでさえ致命傷に至るケースがあります。
応募書類の内容がいかに優れていたとしても、ビジネスパーソンとしての基本的な素養に疑問符がつけられてしまえば、マイナス評価は免れ得ません。
【40代中途採用】職務経歴書の書き方 突破口は自己PRに
ねこ吉
みふき
ねこ吉
みふき
この章のポイント
- 自己PRの「適量」
- 自己PRの「表現」での留意点
- 自己PRの「内容」で外せないもの
文字数は300字を上限に
職務経歴書の自己PRをまとめるに当たり、留意すべきポイントがいくつかあります。
まず文字量については、ストレスなく読める300字以内が目安です。
300字は、いわゆる「ベタ記事1本分」に相当する文字量で、読むのに1分もかからない分量です。
そこに、PR文を盛り込んでいくわけですが、当然、余計な言葉や表現を入れる余地はありません。
とくに、自己PR欄に職歴を網羅する「総花的な書き方」は禁物です。
これは、字数制限の問題だけではありません。
理由は大きく3つあります。
- 内容が薄まる
- PRのポイントがピンボケを起こす
- 採用担当者の読む意欲を削ぐ
後段で詳しく紹介しますが、自己PRは「実績・スキル」を軸に、「プロセス・背景」「職務に対する姿勢・信念」をみせる作業です。
強調したい実績が2つある場合は、それぞれに見出しを立てて、同じ要領でPR文をまとめる形に仕上げます。
40代にもなると、キャリアが豊富になる分、自己PR欄にあれこれ書きたくなる気持ちは理解できますが、そこは「職務経歴書の本編」に譲るべきところといえます。
表現での留意点は3つ
応募者から寄せられる職務経歴書の自己PRは、一般的に根拠と信憑性に欠く内容が多く、採用担当者もざっと読み流す程度にとどまるケースが目立ちます。
仮に一定の根拠を示したとしても、40代の場合、内容が薄ければ結果は同じです。
確かな即戦力だけに光を当てる企業の中途採用をめぐっては、「月並み」「凡庸」との評価を受けた時点で選考通過は難しくなるためです。
逆に言えば、ここが40代の転職希望者の付け入る隙になります。
職務経歴書の自己PRは、読むに値するだけでも、必ずプラスの評価になります。
職務経歴書の自己PRでの評価は、年齢のハンデを負う40代転職希望者にとって、必ず拾っておきたいポイントです。
説得力のある自己PRをまとめるには、まずは「表現」から見直さねばなりません。
40代中途採用の自己PRとして表現上、とくに意識しておきたいのは、以下の3つです。
- 具体性とオリジナリティ
- 伝わりやすさ
- 慣用句の誤用
自己PRをまとめる上で、とくに失敗しがちなのは、最初に挙げた「具体性」と「オリジナリティ」です。
たとえば「具体性に欠く内容」というのは、こんな一文です。
「人とのかかわり」にやりがいを感じてきました。
上記の例文からは、応募者の人物像がつかめず、重要な情報が何もみえてきません。
好意的に解釈しても「接客業への適正」や「介護職での活躍」を示す根拠にはなりません。
その原因は「言葉足らず」にあります。
「自己PRは具体的に書く」という基本は広く知られていますが、本質的な部分が誤解されがちです。
「言葉足らず」もまた、具体性や客観性を曇らせる要因になります。
上記のサンプルを例文に少し手を入れてみます。
老人ホームでボランティアに汗を流した学生時代から「人とのかかわり」にやりがいを感じてきました。
背景にかかわる情報を加筆するだけで、オリジナリティが生まれ、印象と意味合いが変わりました。
とくに人柄は、直接的な表現を避け、行間や背景説明から「間接的に読み取らせること」を意識するのがポイントです。
続いて「分かりやすさ」についてですが、文章のイロハでありながらも、一番奥が深いテーマといえます。
本当のところ、追求すると切りがありません。
ただ、「伝わるように書く」という基本は必ず守らねばなりません。
当然だと思われるかもしれませんが、意外に多いのが、以下の例文にみられるような独善的な表現です。
- お客さま第一をモットーに
- 積極的にアプローチする営業を
- 情報を敏感にキャッチし
独善的な言い回しは、「一方通行の自己主張」として言葉に説得力が宿らないため、本来の実力を正しく評価してもらえません。
この手の表現を用いる場合、必ずどこかで「明確な根拠」を示しておく必要があります。
たとえば「お客さま第一」をうたうのであれば、「どのような取り組みをもって達成してきたか」を具体的に証明せねばならないわけです。
最後に、慣用句を扱う上での注意点について、ありがちな誤用をいくつか挙げてみます。
- 的を得た意見⇒的を射た意見
- 采配を振るう⇒采配を振る
- 足元をすくわれる⇒足をすくわれる
いかがでしょうか。
慣用句の誤用は、実はプロのライターでさえ誤りに気付かぬことが多い「落とし穴」といえます。
当然のように使ってきた慣用句でも、使用の都度、必ず正しい意味と言い回しを確認するよう心掛けねばなりません。
材料にも定石がある
40代中途採用の採否を決めるのは、突き詰めると「即戦力としての価値」以外にありません。
そのため、自己PRで押さえるべきポイントも決まっています。
とくに以下の3つの情報は必須です。
- 実績とスキル
- (実績にまつわる)背景とプロセス
- 職務に対する姿勢と信念
上記の3項目は、自己PRをまとめるに当たって必要不可欠な材料で、40代の場合、どれを欠いても選考に残るのは難しくなります。
とはいえ、文字量は300字以内に収めるには、盛り込める情報量に限りがあるのも確かです。
そこで必要情報は、文章を立体化させる形で、一文のなかにできるだけ融合させてまとめていきます。
ありがちなPR文を上述の考え方に沿って、文字量を変えずに修正すると、以下の形に仕上がります。
- 修正前:売上目標の到達に向け、顧客への訪問活動を積極的に実施した結果~
- 修正後:売上目標を逆算し、顧客訪問回数を自らのノルマとして課した結果~
いかがでしょうか。
修正後の文章からは「プロセス」「職務に対する姿勢」「人柄」「センス」などが読み取れるようになりました。
いうまでもなく、この技術は本編(職務経歴)をまとめるなかでも使えます。
ただし、立体化した文章は、読みやすさへの注意が欠かせません。
職務経歴書が一通り完成した後は、誤字、脱字のチェックを含め、誰かに読んでもらうのが鉄則です。
ポイントのおさらい
- 文字量は300字を目安に
- 表現は具体性・オリジナリティ、分かりやすさ、慣用句の誤用に注意
- 直接的な表現を避け、読み取らせる工夫を
- 自己PRは実績を軸にプロセス、職務への姿勢を書く
- 必要情報は文章を立体化し文字量を変えずに増やす
- 完成後は第三者に読んでもらうのが鉄則
【40代中途採用】さらに一歩踏み込むには
上述のポイントを押さえてまとめた自己PRは、他の応募者よりも一段優れた内容に仕上がるはずです。
ただ、文章としての完成度がいくら高くとも、基本的な文章の技術だけで実績を引き立たせるには、限界があるのも確かです。
さらに完成度の高い自己PRを目指すには、もうひとつ、味付けが必要になります。
それは「迫力」です。
自己PRの迫力こそが、年齢のハンデを埋めるための「技」であり、再就職を目指す40代にとっての「センスのみせどころ」といえます。
実績という素材自体に迫力がある場合は別ですが、表現の仕方はもちろん、構成次第で実績の輝き方は格段に増します。
以下に具体的な書き方を解説しますが、このポイントさえ押さえておけば、40代はキャリアを積んでいる分だけ有利な見せ方がでるはずです。
この章のポイント
- 使うと逆効果になる「NGワード」について
- 実績を引き立たせるコツ
文章に迫力を持たせるには
文章に迫力を持たせる方法はいくつかありますが、万人向けの一番手っ取り早い方法は、「インパクトのある背景」で実績を飾ることです。
私の実績を例に挙げると、以下のイメージになります。
✖「福島原発事故の現場写真をスクープした」
〇「当時世界中の記者が追っていた福島原発事故の現場写真をスクープした」
背景を少し具体化するだけでも、意味合いがガラリと変わります。
ただ、具体化すべきインパクトのある背景は、本人も気づいていないことが往々にしてあります。
そのためにもまず、職務経歴書を書く前に「キャリアの棚卸」を済ませておく必要があります。
職務での経験を多面的に分析してみると、案外もっともらしい実績は出てくるものです。
ようするに「物は言いよう」というわけです。
実績を具体化する正攻法としてはもうひとつ、背景説明とともに「数値化」するのも有効です。
以下に示すのは、失敗例と改善例です。
✖電話応対コンクール入賞
〇全国電話応対コンクールトップ10入り(主催:日本電信電話協会、参加者数約1万2千人)
この手の「もったいないミス」は、読み手に対する配慮が希薄なときに起こりがちです。
企業の採用担当者が「電話応対コンクール」の存在を知っているとは限りません。
自己PRは常に「知らない人にも伝わるように書く」のが鉄則です。
逆効果になるNGワード
ある意味で、40代の転職活動は人生を賭けた大勝負です。
自己PRに迫力を持たせる必要性も、多くの応募者が薄々気づいているはずです。
ところが、採用担当者が関心を寄せるPR文は「ほんの一握り」というのが実態です。
それはなぜか。
みずからの実績に迫力を持たせようとして「使ってはいけないNGワード」に逃げてしまっているからです。
このあたりは転職支援の専門家も誤解しがちなところで、お手本にすべき職務経歴書のサンプルのなかにも「NGワード」は散見されます。
では、使ってはいけないNGワードとは何か。
それは、「より一層」「大幅に」「積極的に」といった抽象的な表現です。
こうした余計な表現は、いずれも求職者の「主観」に過ぎず、実績はまるで引き立ちません。
むしろ見方によっては、実績の水増しに失敗している印象さえあります。
逆に言えば、NGワードを使わずに迫力を持たせたPR文には「他と一線を画す価値がある」といえます。
40代転職希望者の方々は、年齢のハンデを少しでも埋めるため、上述の方法を是非実践してください。
ポイントのおさらい
- 実績にインパクトのある背景説明を加えると迫力が生まれる
- 数字は実績の裏付けになり、文章の迫力も格段に増す
- 知らない人にも伝わるように書く
- 「積極的に」「大幅に」などは主観。客観的事実で証明を
【40代中途採用】必要情報は自己分析と企業研究で調達
ねこ吉
みふき
ねこ吉
みふき
ねこ吉
みふき
40代中途採用への最初の難関は、職務経歴書(と志望動機書)を判断材料に、応募者をふるいにかける書類審査です。
仮に職務経歴書が「月並み」との評価を受けた時点で、40代の転職希望者は、中途採用への道を閉ざされるといっても過言ではありません。
そこで「職務経歴書の自己PR」をいかに魅力的にまとめるかが重要になりますが、ひな形通りの総花的なまとめ方では勝算が薄いといえるでしょう。
さらに自己PRの文章には、先に触れた「実績の根拠を強める数値化」や「背景説明」のほかに、絶対に外せないポイントがあとひとつあります。
「企業の求める人材像」と「応募者自身のスキル」のマッチングです。
企業側の採用意図に合致していなければ、いくら立派な実績を書き連ねても、すべて「的外れ」になってしまいます。
とくに40代応募者の場合、「勉強不足」が露呈した時点で熱意も疑われ、選考通過率は確実に下がります。
中途採用の一枠を狙う40代転職希望者の方に向けて、この2つの作業にも秘策を用意しました。
この章のポイント
- 企業研究と自己分析がなぜ重要か
- 企業研究の裏技
- 自己分析のポイントと注意点
企業研究は「読む」と「聞く」で
企業研究は、いわば「企業が求める人材像」と「採用の意図」を探る作業で、即戦力としての価値が求められる40代の転職活動では必須です。
必要な材料は、求人情報に記載される仕事内容や応募資格、企業のウェブサイトなどから拾えます。
とくにおすすめの資料は、経営理念や経営の方向性を伝える「社長あいさつ」や「経営計画」、「ニュースリリース」などです。
このあたりの資料は、企業文化の骨格や理念、経営のかじ取りの方向性をつかむ上でも、必ず読んでおきたいところです。
さらに深い情報を集めるためには「専門紙」(業界紙)を読むのがおすすめです。
専門紙は一般紙とは比較にならないほど情報の密度が濃く、細かい業界の動きまで網羅しています。
業界の動向などを知るには、これ以上に参考になる媒体はありません。
ただし、40代の転職希望者が中途採用の一枠を狙うには、あと一手間必要です。
そもそも、資料集めだけで企業研究を完結させるには無理があります。
文章は「書き手の力量」と「読み手の解釈」に委ねられる性質上、どこまでいっても一方通行の代物だからです。
つまり「分からないところが正確に理解できないままになる」わけです。
いくら経営計画や社長あいさつを読み込んだところで、企業の求める人材像と採用の意図を正確に見極めるのは、取材のプロでも至難の業といえます。
ではどうすればいいか。
文字情報の限界を超える方法は、ひとつしかありません。
人事担当者に直接電話で問い合わせてみることです。
たったこれだけの作業ですが、自己PRのクオリティは革命的に高まります。
電話での問い合わせは、取材慣れした記者であれば当然の作業といえますが、一般的な転職活動においては「盲点の裏技」になっています。
第三者に任せず、自分で聞くのが最大のポイントです。
企業の求める「人材像」と「採用の意図」は、肌感覚としてつかまねば意味がないためです。
ちなみに、志望企業が求める人材像に直接探りを入れる行為は、フライングでも、NG行為でもありません。
念のため、転職支援の専門家にも裏取りましたが「そこまでやる人は少ない。むしろ積極性が評価されるのでは」とのことでした。
ただし「相手に聞かれるまでは自分の名前は出さない方がいい」とも。
ある種のマナー違反になりかねませんが、この意見には私も同意するところです。
もちろん、事前に志望企業について研究しておかねば、何を尋ねればいいかさえわからず、人事担当者とのやり取りも、ちぐはぐになりかねません。
企業研究は、「ウェブサイトなどでの情報収集」と「直接的な電話確認」の2つがそろってこそ、初めて実を結ぶわけです。
さらにもう一段、深い情報を入手し、ライバルとの差を確かなものにする方法もあります。
関係者をたどって直接応募企業の社員から情報を得ることです。
「答えそのもの」を拾える可能性があります。
ここまでできれば、企業研究は完璧なものになります。
「自己分析」にはキャリアの棚卸しを
一方の自己分析は「キャリアの棚卸し」を行うイメージです。
応募者自身の実績や強みは、企業からみた「人材の価値」そのものです。
求人情報に記載される「仕事内容」や「応募資格」を念頭に、自身のキャリアをきめ細かく振り返り、職務での活用を具体的にイメージしていくのがコツです。
「自分からみれば大したことじゃない」「ちょっと手伝っただけ」などの思い込みから、自分の経験・スキルの一部を過小評価する人も少なくありませんが、取りこぼしは禁物。
自身の中では取るに足らない経験やスキルでも、企業にとっては「ニーズのど真ん中」を突く場合があり、採用の決め手になるケースもままあるためです。
自己分析は、企業研究の前と後、2度にわたって取り組むのがおすすめです。
ポイントのおさらい
- 企業研究と自己分析は必須の作業
- 企業研究は「読む」と「聞く」で
- 自己分析はキャリアの取りこぼしに注意を
【40代中途採用】職務経歴書 採用担当者はどう読む?
企業の採用担当者は職務経歴書に記載される情報をもとに、専門家としての相場観をもって、応募者の実力と人物像を浮かび上がらせます。
実際、スキルや働きぶりは「業種」「経歴」「企業の事業規模」などからもある程度、推測できます。
たとえば、現場経験後の本社復帰の職歴を「幹部候補だった可能性がある」と読み解いたり、ミスに厳しい公益事業に携わった人を「事務処理の正確さには期待できそう」と分析したりするイメージです。
こうした職務経歴書の使われ方を踏まえると、「前職の企業データ」や「担当業務ごとの業務内容と実績」、「所属課の人員数」などは、より具体的に記載するのが好ましいといえます。
何より、読み手が求める情報を用意するのは基本中の基本です。
勝敗の行方を分かつ分水嶺はむしろその先、「自己PRの読まれ方」と「それに応じた書き方」にあります。
まず採用担当者が応募者の自己PRに目を通すのは、社会人としての歩みや肩書だけでは特定できない「即戦力たる具体的な根拠」や「信頼に足る人物としての証」を求めてのことです。
採用担当者が職歴からイメージする応募者の人物像は、自己PRを通じて「補強」「修正」されていくわけです。
つまり、応募者からみた自己PRは、採用担当者の期待を確信に近づけたり、誤解を解いたりする「最大のチャンス」といえます。
ただし、自己PRの記述に嘘や誤魔化しを盛り込むのは禁じ手です。
記載情報の真偽は、全体的な経歴との整合性からある程度見極めがきくものです。
虚偽の内容次第では「内定取り消し」になる可能性もあります。
なお、自己PRと同等以上の重要書類が「志望動機書」になります。
別の章でもご紹介しましたが、詳しい書き方は別記事で徹底解説していますので、是非参考にしてください。
不採用の決め手には「相性の悪さ」も
採用担当者が重視するポイントは、もう一つあります。
「会社と応募者の相性」です。
「適性」ともいえます。
輝かしい経歴を持つ応募者が「オーバースペック」として落とされるケースも、実は珍しいことではありません。
社風や企業文化など、相性にまつわる定性的な情報は、前述の「企業研究」によって必ずつかんでおくべきです。
社風への理解は、志望動機書をまとめる上でも必要になります。
また企業には、業界や業種ごとに「人材の好み」があります。
面接に臨む服装ひとつをとっても、その好みに合わせていかねばなりません。
たとえば、お堅い企業の面接ではダーク系のスーツと白のYシャツで「清潔で落ち着いた印象」を強調するのが基本です。
逆にアパレル業界でこれをやると「戦意喪失」と見なされかねません。
もちろん、職務経歴書の場合も装いへの配慮が欠かせません。
とくに「文章のトーン」に注意が必要です。
人材調達の基本路線として「手堅さ」を重視する企業に対しては、「尖った内容の自己PR」は逆効果になります。
また「顧客」という表記を嫌う癖のある企業は、職務経歴書での表記も「お客様さま」に統一しなければなりません。
40代中途採用 職務経歴書の必須項目は?
職務経歴書は、いわばプレゼンテーション資料です。
コンビニや100円ショップなどでも購入可能ですが、Wordを使って自作できる方は、事務処理能力をアピールする意味でも有効です。
自作の職務経歴書はレイアウトが自由になる分、見せ方、読ませ方の戦略性も一段と高まります。
たとえば、最初に「職種」「在職期間」「役職」「転職回数」などまとめた「経歴の要点」を配置すると、必要な情報が頭に入りやすく、読みやすさもグッと増します。
また、職歴の要約や解説を設け、PRしたいポイントを明示・誘導する手も使えます。
A4の用紙1枚~2枚にまとめるのが一般的です。
既製品を購入するにせよ、自作するにせよ、職務経歴書には必ず記入すべき項目があります。
- タイトル、日付、氏名
- 勤務中もしくは前職の企業データ(事業内容、資本金、従業員数、上場・非上場など)
- 職務経歴の詳細(担当業務、期間、昇格、取り扱い商品、担当エリア、実績、経験、所属組織の人員数など)
- 資格・免許
- 自己PR
※字体は明朝体で
6項目以外にもうひとつ、「生かせる経験・スキル」も見出しを立てて入れるのも有効ですが、職務経歴書では少し触れる程度にとどめ、「志望動機書」のなかでしっかり伝えるのも手です。
職務経歴のフォーマット
職務経歴のフォーマットは3タイプあります。
- 編年体式
- 逆編年体式
- キャリア式
編年体式はこれまでに携わった業務の内容を「時系列」にまとめていくもので、もっともオーソドックスなスタイルです。
逆編年体式は、直近の仕事を先頭に、職歴をさかのぼってまとめていく形式で、前職を目立たせる効果があります。志望企業の業務内容が前職に重なる場合など、とくに前の仕事をPRしたいときに用います。
キャリア形式は、これまでの経歴を「分野別」にまとめるものです。転職回数が多く、幅広い経験を積んだ人向きです。勤め先ごと、担当業務ごとの習熟度がつかみやすいのが特徴です。
【40代中途採用】正攻法だけじゃない
ただでさえ不利な戦いを強いられる40代の転職希望者は、ときに正攻法から離れることも必要です。
正規ルートからの突破を目指すにしても、強力な第三者の支援を求めるのが得策です。
中途採用をめぐる選考での強力なバックアップになるのが、「推薦状」です。
元上司や応募企業にゆかりの深い知人に依頼するのも手ですが、応募企業と利害関係にある助っ人からの推薦状は、効果も桁違いです。
「応募先と取引のある企業」や「代議士」などからの推薦を受けた応募者に対しては、採用側も軽率な扱いができません。
依頼に際し、A4のペーパーにまとめたひな形を手渡すとスムーズです。
記入すべき内容はざっと以下のイメージ。
- タイトル(推薦状)
- 宛名
- 日付
- 氏名・肩書等
- 推薦への意思表明
- 人柄と推薦のポイント
- 印
ただし、とりわけ影響力の強いルートからアプローチは、いわゆるコネ入社同様、入社後の人間関係に一定の影響が出る可能性は否定できません。
【40代中途採用】職務経歴書の書き方 まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は書類選考の通過率を高める職務経歴書の書き方を徹底解説しました。
まとめは以下の通りです。
職務経歴書全般
- 採用担当者が重視するのは履歴書よりも職務経歴書
- 職務経歴書の記載内容には「即戦力たる証」が必須
- 文章のトーンは社風に合わせて変えるのが正解
- 利害関係者からの推薦状があると有利
自己PRの書き方・注意点
- 自己PRは300字を上限に
- 表現は具体性、分かりやすさ、慣用句の誤用に注意
- 言葉足らずは客観性・具体性を薄める
- 自己PRは実績を軸にプロセス、職務への姿勢を書く
- 必要情報はできるだけ一文に詰め込む
- 「積極的に」「大幅に」などは主観。客観的事実で証明を
- 実績に背景を添えると文章に奥行きが出る
- 数字は実績の裏付けに。文章の迫力も格段に増す
企業研究と自己分析
- 企業研究は「読む」と「聞く」で
- 自己分析はキャリアの取りこぼしに注意を
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。