40代の退職には「しかるべきタイミング」があります。
一般的には「繁忙期を避けるべき」などと言われますが、こと40代の退職に関しては、そうした常識論で片づけられるほど単純ではありません。
退職による職場への影響に配慮する一方で、ときに常識を破らざるを得ない局面も出てきます。
また転職には「求職者に有利な時期」があり、退職後に転職活動を始める場合は、そのタイミングも念頭に置かねばなりません。
妻子持ちの身ながら2017年、20年勤めた職場を円満退社し、現在に至ります。詳しいプロフィルは最下段にあります。
退職プロみふき (40代退職経験の元記者)
何も考えずに会社を飛び出してしまうと、大きな落とし穴につまづきかねない40代退職の現実。
今回は、会社を辞めるのに「好ましい時期」とともに、リアルな40代退職者としての経験も交え、「現実的なタイミング」についてご紹介します。
※下段吹き出しの登場人物
だいすけ:退職に悩む40代の会社員
みふき:筆者
Contents
【40代退職】相場は意思表示の2か月後
40代退職希望者だいすけ
退職プロみふき (40代退職経験の元記者)
40代退職希望者だいすけ
退職プロみふき (40代退職経験の元記者)
40代社員の退職は、勤め先にとっても大きな損失です。
ベテラン選手の抜けた穴は大きく、職場や取引先にも少なからず迷惑をかけることになります。
職場への影響を最小限に抑えるためにも、また、キャリアに無用な傷をつけないためにも、まずは会社を辞める「理想のタイミング」を押さえておきたいところです。
退職のタイミングは一般的に「意思表示の2か月後」が望ましいとされます。
これは、お世話になった方々へのあいさつ回りや引継ぎなどのほか、後任人事などにかかる日数を勘案して積み上げた数字です。
以下の表は、退職日に至るまでにとるべき行動として大まかな流れを記したものです。
退職日の2か月前 | 直属の上司に対する退職の申し入れ、退職日の設定 |
退職日の1か月前 | 退職願の提出、後任への引継ぎ |
退職日の2週間前 | 後任を伴ってのあいさつ回り |
退職日の1週間前 | 取引先への挨拶状の送付 |
退職の前日 | デスクやロッカーの整理 |
退職当日 | 上司や同僚への最後のあいさつ、貸与品の返却 |
なお有休消化については、上記のスケジュール感を念頭に、会社側と交渉していく形になります。
退職までの流れや上司への切り出し方などについては「リアルな経験者が教える【40代】退職の切り出し方・伝え方のツボ|参考例も」という記事により詳しくまとめています。
退職のタイミングにはNGも
一般論として、在職中は現職の職務を優先するのがマナーです。
とくに、以下のタイミングでの退職は避けるべきとされます。
- 繁忙期
- 責任者の立場で抱える大型プロジェクトの進行中
また退職を決意した段階で、重要案件の責任者や管理職昇進の内定などは固辞するのが望ましいとされます。
つまり退職の意思を固めている場合は、重要案件の担当や管理職への昇進を辞退した上で、「2か月後の閑散期」を狙って退職するのが理想といえるわけです。
【40代退職】一般論ではチャンスを逃す
40代退職希望者だいすけ
退職プロみふき (40代退職経験の元記者)
40代退職希望者だいすけ
退職プロみふき (40代退職経験の元記者)
退職の時期は前述の通り「繁忙期を避けるべき」とされますが、40代退職者にとっては「絶対条件」ではありません。
繰り返しになりますが、40代の退職は人生をかけた大勝負です。
家族のその後の人生にも影響を及ぼすような、大きな決断といえます。
誤解を恐れずに言うと、会社に対する義理立てをすべてにおいて優先できないのが、40代退職の本質といえます。
まず、転職先の入社日がこちらの都合で決められるとは限りません。
また、セオリー通りに在職中に転職活動を始めるにしても、内定がもらえるタイミングは当然ながら不透明です。
つまり40代の場合、職場の都合よりも退職後のスケジュールを優先せざるを得ない局面がいくつもあり、繁忙期の退職は可能な限り避ける「努力目標」にならざるを得ないわけです。
プロジェクト進行中は慎重な判断を
40代退職者にとって「閑散期(かんさんき)の退職は努力目標」といえますが、こと「選手交代が利かない職務の途中放棄」に関しては、大きな禍根を残しかねません。
なかでも大型プロジェクトが進行中の場合は、退職により慎重な判断が求められます。
とくに責任者の立場で重要案件を抱えている場合は、退職時期の見直しも視野に、柔軟に対応するのが妥当です。
仮に退職を強行した場合、道義上の問題はもちろん、キャリアにも無用な傷がつく恐れがあります。
むしろ責任者としてプロジェクトを成功させた経験は、40代の転職活動における「年齢のハンデ」をカバーするプラスの実績として生きてきます。
👉ポイント
- 閑散期の退職はあくまでも努力目標
- ただし責任者の立場で大型プロジェクトを担う場合は、退職時期の見直しも一考すべき
【40代退職】大切なのは下準備
40代退職希望者だいすけ
退職プロみふき (40代退職経験の元記者)
40代退職希望者だいすけ
退職プロみふき (40代退職経験の元記者)
繰り返しになりますが、40代のベテラン社員が抜ける穴は、決して小さくありません。
では40代の退職者が、社会人としての責務を果しつつ、少しでも円満退社に近づけるには、どうすればいいのでしょうか。
いわずもがな、とくに重要になるのは引継ぎです。
会社への恩を実感している方も、そうでない方も、退職後の影響を抑える最低限のフォローは社会人としての責務です。
一般的な引継ぎの内容は、以下のイメージになります。
- 仕事の内容と段取り
- 必要な資料と書類の保管場所、収集方法
- 取引先の担当者名と連絡先
- 各窓口の特徴と注意すべきポイント
引継ぎに当たっては、諸々の手配を上司と相談したうえで、「引継書」を作成するのが一般的な慣習です。
業務の要点、進捗、優先順位、今後の見通しに至るまで深掘りするのが好ましく、さらに各業務に精通する「社内外の人脈」を整理し、一覧で伝えておくとより親切な対応になります。
ただ、会社の業務は一般的に「組織の仕組み」のなかで動く以上、「担当者以外、どうすることもできない」などということはまずありません。
そうした状況は、一個人の責任ではなく、むしろ「会社組織としての欠陥が露呈(ろてい)した形」といった方が正確です。
もし、一個人の退職による影響が経営の屋台骨まで揺るがす事態に発展するようであれば、それは人事制度の運用ミス・設計ミスといえ、経営者の経営責任が問われる問題といえるでしょう。
ただし、「退職者による最大限の努力」が前提とえいます。
とくに40代のベテラン社員は、退職の下準備として、事前の「後進への技術継承」が重要になってきます。
円満退社の要は技能継承に
40代退職者の責任として「業務のひな型」を伝えるよりも重要なのは、前述の通り、ベテラン社員ならではの独自スキル・ノウハウの継承です。
ただ、20年に及ぶ仕事のノウハウを残すとなると、意思表示から退職に至る1~2か月程度の期間では、限界があるのも確かです。
また、転職のチャンスが突然舞い込んできた場合、十分に対応できない可能性も否めません。
こうした事態を避けるためにも、40代での退職を志す場合は前もって、仕事のスキルや段取りの仕方などについて後進に計画的に伝えておくのが吉です。
具体的には、職場に対する技能の水平展開や後進の育成などを名目に「秘密裏」に進めるイメージです。
秘密裏に進める理由は、退職の意思が知れ渡らぬようにするためです。
私の場合、通常業務をこなしつつ、半年かけてこの作業に臨みました。
出し惜しみのないスキルの継承は、円満退社を実現する補強材料にもなります。
【40代退職】有利なタイミングは
閑散期に退職するのが「会社側の理想」とするならば、退職者側からみた有利なタイミングは企業の採用活動が活性化する時期です。
一般的に、中途採用の募集が増えるの時期は1~3月、7月~9月になります。
いずれの時期も、人員補充に採用枠を設ける企業が増える決算期の前で、「ボーナス後のタイミング」にも重なっています。
とくに退職後に転職活動を始める場合は、この時期を目安に決めるのがおすすめです。
もう一点、退職後の生活資金に不安がある場合は、ボーナス支給のタイミングも意識しておくべきです。
転職するにせよ、独立するにせよ、預貯金は40代退職後の生命線になります。
とくに退職後の転職活動は、預貯金の枯渇が事実上のタイムリミットになります。
また、転職の意思を固めた場合は前述の通り「昇進を辞退するのが基本」となりますが、管理職の経験は転職活動に有利になる上、退職金も増えるのが一般的です。
退職に有利なタイミングは、長い目で見極めるのも大切です。
【40代退職】空白期間のススメ
40代退職希望者だいすけ
会社員にはない解放感を満喫できそうですが、転職先での仕事の準備に費やした方がいいのでしょうか。
退職プロみふき (40代退職経験の元記者)
40代退職希望者だいすけ
退職プロみふき (40代退職経験の元記者)
転職先がすでに決まっている場合、入社するまでの「空白期間」は大事にしたいところです。
空白期間の過ごし方として、前半は充電期間、後半は入社後の準備に充てるとバランスがとれます。
ただ、やはり重要なのは前半の充電期間とえます。
ここは経験者としての個人的な見解になりますが、40代の退職で得られる時間の自由は「人生の夏休み」さながらで、長年の夢を実現する好機になります。
身の振り方が決まっている場合は、空白期間のすべてを次の仕事の準備に費やさず、心にゆとりをもってフリーの時間を過ごすのがおすすめです。
ただし退職日から入社日まで月をまたぐ場合、会社と折半してきた健康保険料などを全額自己負担せねばならず、一時的な支出増は避けられません。
また、税金関係の申請など面倒な作業を強いられる点も覚悟しておく必要があります。
【40代退職】飛ぶ鳥跡を濁さず
退職理由として、本心からネガティブな要素が一切含まれないケースはごく稀(まれ)です。
上司や組織の理不尽さに嫌気が差し、退職を決断する人も少なくありません。
厚労省がまとめた雇用動向調査にも、40代退職者の複雑な心中がちらつきます。
ただ、いくら理不尽極まりない職場であっても、後ろ足で砂をかけて出ていく行為は厳禁です。
これは、道義上の理由ばかりではありません。
古巣からの悪評が希望する転職先の採用担当に漏れ伝わるケースもままあるためです。
実際私の身近なところでも、人事担当の個人的な伝手(つて)から求職者の悪評を耳にし、最終選考で落とすケースがありました。
とくに同業他社への転職は、退職時の無用な悪評には注意が必要です。
飛ぶ鳥跡を濁さずといいますが、それは自分のためでもあります。
【40代退職】最良のタイミング まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は40代で退職するための「最良のタイミング」についてご紹介しました。
まとめは以下の通りです。
- 退職の意思表示は希望日の2か月前に行うのが一般的
- 退職を決意したときは昇進を辞退するのがマナー
- 40代は退職後のスケジュールを優先せざるを得ないことも
- 40代の退職は引継ぎとともにノウハウの継承が重要に
- 転職する時期は1~3月、7月~9月が有利に
- 転職までの空白期間は人生で最も有意義な時間になり得る
- 自分のためにも不満をぶちまけず、綺麗に辞めるべき
なお、退職までの流れや上司への切り出し方などは「リアルな経験者が教える【40代】退職の切り出し方・伝え方のツボ|参考例も」という記事により詳しくまとめています。
また、国民健康保険への切り替えなど退職後にやるべきことは「【40代】退職後にやることは?公的手続き、最悪の失敗回避|経験者のアドバイスも」という記事にまとめています。
ほかにも、筆者と同世代となる40代の方に向けて「職務経歴書の書き方」や「会社員でいるメリット」など、転職・退職にまつわる情報を多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。