長年勤めた会社を40代で退職したものの、転職活動が上手くいかず、内定がなかなかもらえない――。
「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」と焦れば焦るほど、仕事探しは空回りしていくものです。
無力感にさいなまれる気持ちも、とてもよくわかります。
実際のところ、傷つく感覚がマヒするまで落とされ続けるのも手かもしれません。
ただここはいったん落ち着いて、もう一度、転職活動での敗因を洗い出し、きちんと分析してみるべきではないでしょうか。
確かに仕事探しは、年齢が高くなるに連れて難易度が上がっていくものです。
また40代の転職はキャリアが重視されるため、個人差が大きいのも事実です。
とはいえ、選考通過率自体を高めるのはそんなに難しいことではなく、面接で押さえるべきツボは同じです。
つまり、40代でも内定承諾への確率を高める普遍的な方法があるわけです。
面接で落とされ続ける人が行うべきポイントは3つ。
- 自己PRと志望動機の見直し
- 失敗の原因となる根本的なミスの解消
- 仕事探しの効率化
申し遅れましたが、私も40代で20年勤めた会社を退職した口です。
二児の父で、以前は全国紙で新聞記者を務めていました。
本サイトは2020年にはじめたものですが、ここで紹介している情報は、「40代退職者としての経験」と「記者時代に培った取材力」を生かしてまとめた代物です。
会社経営者や専門家の意見も参考にしています。
とくに今回は、人生の再出発を目指す40代の方々に向け、仕事探しの「改善」に役立つ情報を集めました。
職探しに苦しんでいる同世代の方は、是非参考にしてください。
※下段吹き出しの登場人物
ねこ吉:退職を目指す40代サラリーマンのネコ
みふき:筆者
Contents
上手くいかないのはあなただけじゃない
ねこ吉
みふき
ねこ吉
みふき
転職は、業界・業種によって有利・不利があります。
たとえば会計事務などの人気の高い職種は「狭き門」といえますが、それ以上に厄介なのが「年齢の壁」といえるかもしれません。
実際、転職の黄金期は20代~30代といわれ、40代の求人は圧倒的に少ないのが現実です。
求人サイトの大半が照準を合わせるのも20代~30代の層で、実は「40歳以上は対象外」というサイトも少なくありません。
40代の仕事探しは、見た目以上に小さなパイを奪い合う形となり、若年層に比べてハードルが高くなっています。
40代で退職した人にとって、再就職先を探す道のりは、決して平たんではありません。
多くの人が厳しい現実を前に、自身の無力を思い知らされ、言いようのない虚無感を感じているのではないでしょうか。
ただ、苦しんでいるのはあなた一人ではないということを、どうか忘れないでください。
もしいま職を持ちながら転職活動を進めている人は、安易に退職せず、転職先を見つけた上で、第二の人生に踏み出すのがおすすめです。
「休職中」に転職活動を試行し、厳しい現実を見極めたうえで、進路を判断するのも有効な手です。
しかし、40代はなぜこうも敬遠されるのでしょうか。
その理由は、企業にとって「若い世代に比べて扱いが難しい」という点に集約されます。
プロパー社員との上下関係、処遇の難しさ、さらには伸びしろの問題等々…。
いい意味でも悪い意味でも完成されたミドル世代より、扱いやすい世代が優先されるのは、ごく自然な流れでといえるでしょう。
40代の転職にも勝機はある
ただし、求人によっては40代が有利な場面もあります。
それは「高い専門性」や「マネジメント能力」などが求められる場合です。
幸い、企業が中途採用に乗り出すのは、若手に有利な「欠員の補充」ばかりではありません。
事業拡大に伴う戦力の増員や新知見の取り込み、会社の変革、年齢構成の是正などをにらんだ「狙い目の求人」もあります。
つまり、「即戦力としての活躍」が期待できる人材は、40代でも転職のチャンスが十分にあるわけです。
ただし、輝かしい実績のある実力者が優先されるとは限りません。
企業が求めるのは「他社での実力者」ではなく、「自社で活躍できる人材」だからです。
市場が一段と細分化され、必要となるスキルの専門性も高まる昨今、積み重ねた実績が通用しない場合が往々にしてあります。
また輝かしい実績・経歴が「オーバースペック」として敬遠されるケースも目立ちます。
では、志望企業の即戦力としての認められるには、どうすればいいのでしょうか。
活路は、企業の採用意図に合わせた「自己PR」と「志望動機」を上手に組み立てることにあります。
ここは、選考通過率を高めるうえで絶対に外せないポイントです。
ただし、選考から外される根本的な原因が取り除かれない限り、何をしても同じ失敗を繰り返すことになります。
まずは書類選考で落とされる原因を知ることから始めなければなりません。
失敗続きにはこんな原因も
ねこ吉
みふき
ねこ吉
みふき
履歴書を「申込書」程度に捉えている
面接への登竜門になるのが「履歴書」と「職務経歴書」。
これら必要書類を申込書程度に考えてしまうと、選考通過率は必然的に下がってしまいます。
履歴書・職務経歴書の内容は、「書類審査」にかけるための重要な判断材料になるからです。
とくに中途採用の選考では、職務経歴書を重視する傾向があります。
まったく特徴のない応募書類は、さしたる問題がなくとも、提出した段階ですでに負け戦を強いられているといっても過言ではありません。
その根本的な原因になっているありがちな失敗が、履歴書・職務経歴書の「使いまわし」です。
日付が古いままの現物を流用するのは論外として、志望動機を少し書き換える程度では不十分です。
とくに自己PRに関連する項目は、企業の採用意図を踏まえて応募の都度カスタマイズするのが正解です。
もちろん「奇抜さ」は逆効果になりますが、光るものがない履歴書・職務経歴書は「価値がない」と機械的に切り捨てられてしまいます。
「とりあえず応募してみた」という安易な姿勢も、微妙なずれとして文面にあらわれるため、簡単に見抜かれてしまいます。
また、具体性に欠く応募書類は、それだけでマイナス評価につながります。
同じ商品を売り込むにしても、見せ方、伝え方次第で売れ行きは段違いに変わるものでのす。
ただでさえ敬遠されがちな40代にあって、特徴のない応募書類では「会ってみたい」と思ってもらえません。
輝かしい実績がある場合は、そこに至るプロセスに焦点を当てて、「この人なら使えるかも」と思ってもらえるような、とっかかりをつくるのが必要です。
職務経歴書の書き方については、別記事で徹底解説しています。
本気度の高い方は読んで絶対に損はありませんので、是非参考にしてください。
採用の意図を読み解けていない
志望企業の情報は、多ければ多いほど有利です。
その点、異業種からの応募者が不利になるのは言うまでもありません。
ただし、同業他社からの鞍替えであっても、肝心の「企業側の採用意図」を読み解かねば、自己PRはピンボケを起こします。
企業側に即戦力としての価値が正しく伝わらない上、熱意が足りないものと見なされてしまいがちです。
志望企業の求める人材(スキル)をイメージできぬまま、闇雲に過去の実績を売り込んだところで、勝算は薄いと言わざるを得ないわけです。
仮に他業種からの応募者でも、企業ニーズに合致した人材であれば、自己PRと志望動機の組み立て次第で採用される可能性は十分あるといえます。
ただし異業種への転職は、企業文化や組織風土の違いに面食らうことも多く、まずは仲間に認められるための「謙虚さ」や「柔軟性」がとても重要になります。
特徴のない自己PRが不戦敗を招く
中途採用の選考過程では、まず「書類審査」で応募者全員がふるいにかけられるわけですが、この段階で機械的に落とされる人はおおむね決まっています。
それは「採用の意図に合わない人材」と「特徴のない応募者」です。
上段の「履歴書・職務経歴書にまつわる失敗」でも解説しましたが、訴求力のない自己PRと志望動機は、企業からみれば「はずれの人材」です。
そこを理解せぬまま、面接でも自己PRを無難に置きに行く人がいますが、好意的に汲んでもらえることはまずありません。
よほど光るものがあれば話は別ですが、数少ない採用枠をめぐる熾烈な競争に、守りの姿勢で挑んでも勝算は薄いのが現実です。
40代はただでさえ、転職に不利な立場に立たされています。
繰り返しになりますが、企業側の採用意図に沿った自己PRこそが、突破口になります。
自己PRについても別途記事を用意し、徹底解説しています。
ポイント
- 総花的で手抜きにみられがちな「履歴書・職務経歴書の使いまわし」は絶対に避ける
- 自己PRは無難にまとめず、企業の採用意図に沿って都度カスタマイズを
負の連鎖を断つ 通過率UPの対処法3選
ねこ吉
みふき
ねこ吉
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成功への第一歩は企業研究と自己分析
40代での転職を成功させる上で、最も重要なのは「企業の採用意図」と「自身のスキル」とのマッチングです。
この要素が合致しない限り、採用されることはまずありません。
つまり転職の成功率を高めるには、採用の狙いを見極める「企業研究」と応募者自身のセールスポイントを洗い出す「自己分析」が必要となるわけです。
企業研究に必要な材料は、求人情報に記載される仕事内容や応募資格、企業のウェブサイトなどから拾えます。
企業分析は、志望動機をまとめる上でも必ず役立ちます。
より詳しい情報は、下段「企業研究の深掘りで自己PRに磨きを」の章にまとめています。
一方の自己分析は「キャリアの棚卸し」を行うイメージです。
応募者自身の実績や強みは、企業からみた「人材の価値」に重なります。
求人情報に記載される「仕事内容」や「応募資格」を取っ掛かりに、きめ細かく自身のキャリアを振り返り、職務での活用を具体的にシミュレーションしていくのがコツです。
「自分からみれば大したことじゃない」「ちょっと手伝っただけ」などの思い込みから、自分の経験・スキルの一部を過小評価する人も少なくありませんが、スルーするのはNGです。
自身の中では取るに足らない経験・スキルでも、企業にとっては「ニーズのど真ん中」を突く場合があり、採用の決め手になるケースもままあるためです。
プロのなかでは月並みでも、素人からみれば「凄い人」に映るのと同じメカニズムで、自分の経験とスキルが思いのほか高く評価されることがあります。
またスキルや経験のきめ細かな洗い出し作業は、職務経歴書・志望動機書を作成する上でも必ず役に立ちます。
選考の構造を意識する
志望企業に応募するにあたり、「選考の構造」を意識するだけでも自己PRの戦略性は高まります。
選考過程をおおまかに分けると、履歴書は「実績」(過去)、一次・二次面接は「スキルと常識力」(現在)、最終面接は「将来性と覚悟」(未来)を見極める場となります。
つまり、自己PRのなかでも「強調すべきポイント」は、選考の各ステップごとに最適化するのが合理的といえるわけです。
たとえば、一次、二次面接での自己PRは「自分の経験とスキルがいかに志望企業の役に立つか」に重点を置くのがコツ。
過去の実績は、あくまでもその補強材料として示すのがスマートです。
また最終面接では、熱意とキャリアプラン(先々の自身に求める理想の姿)と意欲を示すのが鉄則です。
こうした選考の構造を理解しておけば、面接ごとのツボに合わせた「自己PRのストーリー」も組み立てやすくなります。
友人・知人のつてをたどるのも手
40代の転職は、若年層に比べて不利なのは前述の通りです。
ただし、友人・知人の伝手(つて)は別。
採用に経営者の裁量が利く会社は、もっとも確実な就職先といえるでしょう。
私の周りでも、多くの40代退職者が友人・知人が伝手で入社を決めています。
ただし、人からの紹介で入社する場合、雇用主はもちろん、従業員に対しても「謙虚さ」や「柔軟性」、「礼節」を失わぬよう自戒せねばなりません。
とくに雇い主が個人事業主の場合、「友人の友人」ということで、雇用主との距離感を見誤り、礼節を欠くケースが往々にしてあります。
そうした姿勢が災いし、プロパー社員との間に軋轢が生じるのもよくある話です。
正規ルートでの転職同様、新しい会社に溶け込むには「謙虚さ」、先輩に対する「リスペクト」が欠かせません。
ポイントのおさらい
- 自己PRを効果的に組み立てるには「企業研究」と「自己分析」が欠かせない
- 選考の構造を意識し、各ステップごとに自己PRのポイントを絞り込む
- 40代の仕事探しで「縁故入社」以上に確度の高いルートはない
仕事探しをもっと効率的に
ねこ吉
みふき
ねこ吉
みふき
職探しに欠かせぬ視点とは
転職先を選ぶ上で、「給与」「福利厚生」「社会的評価」「企業風土」「職場環境」の評価は欠かせないところです。
少しでも条件の良い企業に転職したい気持ちがあるならば当然です。
勤務地や雇用形態など、譲れない条件もあるに違いありません。
ただ、労働条件だけで応募企業をふるいにかけ、業種まで絞り込んでしまうと、内定がもらえる確率は必然的に下がってしまいます。
もし内定がなかなかもらえずに苦しんでいるのなら、労働条件から入る仕事探しの方法を少し改めてみるべきです。
私のおすすめは、企業選びの基準を「労働条件」から「自分のスキルが役に立つ企業かどうか」に変えてみる方法です。
自分のスキルから入る仕事探しにおいて、とくに目安になるのは「実績」「知識」「資格」の3項目。
これらが企業の提示する応募要件を満たし、実務の面で必ず役に立つと確信できる場合は、志望企業の候補としてリストに入れるわけです。
自分自身の適性見合いで志望企業を探す方法は、業種の枠にとらわれないため、応募先を広げる点でも有効です。
ただし、多少なりとも前職との関連性がある業界を選ぶのが基本といえます。
企業研究の深掘りで自己PRに一段の磨きを
企業研究は、求人情報に記載される「仕事内容」や「応募資格」を取っ掛かりに進めていくことになりますが、企業の採用意図を的確に拾うには、研究の深掘りが欠かせません。
面接に先立ち、企業理念を丸暗記する人も少なくありませんが、それだけでは不十分です。
一段の深化を狙う場合は、各社のウェブサイトに掲示される「プレスリリース」やメディアに掲載される「社長インタビュー記事」の読み込みが有効です。
研究材料の中でも、とくにおすすめなのが「経営計画」です。
すべての会社が策定・公表しているわけではありませんが、経営計画には企業が目指す「未来への道筋」を具体化した内容が盛り込まれており、記者時代にはニュースのヒントを探るのにも重宝しました。
さらに有力な情報が得られるのが、業界のきめ細かな動きまでを網羅する専門紙(業界紙)です。
専門紙は一般紙とは比較にならないほど情報が深く、応募企業の記事は要チェックです。
自己PRと志望動機の組み立ては、企業研究をもって、ようやく正解へと近づきます。
ただ、文字情報をもとにした手探りの研究だけで、選考通過のツボを正確に押さえるのは至難の業です。
私のおすすめは、直接、採用担当者に「電話」で問い合わせることです。
この作業は、ハローワークや転職エージェントも代行してくれますが、伝聞では「肌感覚」がつかめません。
この肌感覚こそが、職務経歴書の自己PRをまとめるうえでの肝になります。
さらに確実なのは、知り合いの伝手をたどり、志望企業の社員から直接情報を取る方法。
とく同業他社への転職を目指す場合、人脈を目いっぱい活用すれば、そんなに難しいことではありません。
応募のマナーで差をつける
中途採用の面接はある意味で「問い合わせ」の段階から始まっています。
「社会人としてのキャリア」を強みとする我々40代にとって、このファーストステップから気を付けたいのが「マナー」です。
たとえば電話での問い合わせ一つをとっても、「求人を見た」と電話先の相手に対応を促すのではなく、要件とともに氏名を名乗った上で、採用担当者への取り次ぎを求めるスマートさが求められます。
忙しい時間帯を避ける配慮も欠かせません。
また、企業のウェブサイトや転職サイトから「エントリーシート」で応募する形も増えていますが、郵送の際はカバーレター(送付状)を同封するのが基本。
職務経歴書よりも一段重要性が落ちる履歴書も、角が折れ曲がっていたり、証明写真に「スピード写真」を使ったりするとマイナス評価を招きかねません。
些末に思うことでも、細心の注意を払うよう注意しましょう。
何より40代の転職希望者にとって、社会人らしい言葉遣いや最低限のマナーは必須スキルです。
逆に言えば、脇が甘い応募者と差をつけるチャンスにもなります。
いわゆる零細企業などでは、マナーの良し悪しや社会人としての良識が採用の決め手になることさえあります。
悪評を確認する
なかなか仕事が決まらない状況下では、仕事探しも「この際、どこでもいいから入れてほしい」と前のめりになりがちです。
ただ、人生はまだまだ折り返し点を過ぎたばかり。
この先20年、自分の居場所のひとつになる企業選びに、焦り過ぎは禁物です。
少なくとも、いわゆる「ブラック企業」に飛び込むのは避けたいところです。
そこで、企業選びを進める際に押さえておきたいのが「悪評」の有無。
とくに有力なのが業界関係者「複数人」から得た情報です。
直接志望企業の社員から聞き出すのが難しくとも、業界関係者まで範囲を広げれば、人づてにもたどりやすく、生の情報が得られやすいといえます。
ウェブ上の個人の書き込みは有力な情報ですが、私怨を込めた悪意のある内容もあり、安易に鵜呑みにすべきではありません。
ポイントのおさらい
- 労働条件ではなく自分のスキルが生かせる会社を基準に探すのが得策
- 企業研究の材料集めで最も有効なのは電話での問い合わせ
- 社会人としてのマナーを徹底すれば脇の甘いライバルとの差がつく
- 可能な限り悪評の有無は確認しておくべき
やってはいけないNGまとめ
ねこ吉
みふき
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手あたり次第の応募は悪循環を生む
40代で家族持ちの場合、なかなか仕事が決まらないでいると、焦りが生まれるものです。
自信を失うばかりか、社会から否定されたような惨めな気持ちになることさえあります。
その気持ちは痛いほどよく分かりますが、それでもやはり、手あたり次第の応募はおすすめできません。
相手企業に応じた準備ができず、アピールする内容が薄まってしまうと、連戦連敗を繰り返す悪循環に陥ってしまうためです。
悪循環から抜け出そうと躍起になるあまり、やっとつかんだ内定も、ふたを開けてみると「ババ」(ブラック企業)だったという笑えない話も目立ちます。
採用の門戸が広い反面、社員の定着率が低い会社には、それなりの理由があるものです。
ただし、複数社への応募は基本です。
職務経歴書と志望動機書の書き方を理解し、面接をいくつかパスできるようになると、転職市場における「人材としての価値」が高まります。
応募企業の採用担当者にとって、他社での一時面接の結果待ちは「他社で太鼓判を押された人材」となるためです。
「他の求人にも応募しているか」との質問の答えは、YESが正解です。
労働条件の誤解に注意を
仕事探しは、求人票の情報を手掛かりに進めていくのが基本といえますが、ここでひとつ注意が必要なのは、記載される労働条件の解釈です。
たとえば「週休2日制」との説明があっても、必ず毎週2日の休みがもらえるわけではありません。
実は「週休2日制」の定義において、2日の休みが保証されるのは週に一度だけ。
つまり、月のうち残りの3週はすべて休みが1日しかないことも十分あり得るわけです。
これに対し「完全週休2日制」は、毎週2日の休日を約束するものとなります。
ただし、「週休二日制」であれ、「完全週休2日制」であれ、土日が休みとは限りません。
曜日が明記されていない場合は、確認が必要になります。
面接での4つの注意点
面接はいわば、企業に対して自身を売り込む「プレゼンテーションの場」です。
一般的には自己紹介にはじまり、キャリアやスキル、転職理由、志望動機の説明などをへて、応募者から企業側に質問する流れになりますが、気を付けたいのは、大きな失点につながるNG行為。
ここでは、ありがちな4つのNG行為について、項目別にご紹介します。
その1「門切り型の回答」
失敗を恐れるがあまり、自己PRと志望動機を無難にまとめる行為は、みずからの価値を薄めるに等しいものといえます。
面接という限られたチャンスのなかで、自身の「即戦力としての価値」を認めてもらわねば、内定がもらえることはありません。
無難に「置きに行く」よりも、誠実に「素の自分を見せる」ことが勝機を生む秘訣です。
いうまでもなく、「前職は人間関係が嫌で辞めた」「給料が少なかった」など、本音ベースで答えるのはNGです。
あくまでも自分で慎重に言葉を選び、言いづらい事実は少し角度を変え、誠実に回答するよう心掛けましょう。
「志望動機と退職理由が思い浮かばない」という方は、志望動機の書き方を解説した記事にまとめていますので、是非参考にしてください。
その2「過剰な自己PR」
中途採用の面接では、新しい仕事を受け入れる「柔軟性」や「謙虚さ」も見定められます。
いずれも、年齢やキャリアの壁を越えて組織に馴染むのに欠かせない要素といえます。
とくに謙虚を美徳とする日本社会にあって、スキルと実績のアピールに終始するばかりでは、ビジネスパーソンとしての資質を欠くと判断されかねません。
社会人の良識や人間性の面で「及第点」をもらう意味からも、謙虚な姿勢を崩してはならないわけです。
ただし、そこは言葉尻から伝えるのがコツ。
自己PRは「社会人としてのセンスのみせどころ」ともいえます。
その3「その場しのぎの回答」
少なくとも、一時面接から最終面接に至るまで、自身の話には一貫性とオリジナリティを持たせることが絶対条件です。
不採用が続けば「とにかく内定が欲しい」との焦りが生れ、前のめりになりがちですが、企業は面接で必ず「信頼に足る人材かどうか」を探ってきます。
もし、その場しのぎの出まかせやつじつま合わせの誤魔化し、志望動機に関する理論破綻などが露見すれば、内定は絶望的になります。
採用担当が応募者に興味を失わない限り、怪しい回答やあいまいな答えには、必ず掘り下げた質問が飛んできます。
もし質問がこなければ、応募者への興味を失ったといえるでしょう。
意地悪な質問に対しても、焦らず誠実に、言葉を選んでの回答を心がけるべきです。
意地悪な質問は、むしろ「興味の証」です。
その4「最終面接での油断」
一時面接で確かな手ごたえを感じ、内定を視界にとらえた場合でも、絶対に油断は禁物です。
最終面接では幹部らが登場し、これまでとは「別の評価軸」で応募者自身の「人物」が判断されるからです。
イメージとして、履歴書の評価基準を「過去軸」とするならば、一時面接は「現在軸」、最終面接は「未来軸」となり、社員としての資質を見極められる形になります。
つまり最終面接では「これからの会社を担う人材たるか」が見定められ、応募者の資質や将来性が見定められるわけです。
また最終面接では、経営幹部らを相手に「福利厚生などの細かい話題」や「実務の質問」などをぶつけるのはNGです。
「特にありません」と答えてしまうのも考え物です。
下手をすると、やる気を疑われかねないからです。
稚拙な質問や知識のひけらかしは控え、役員・幹部らに聞くにふさわしい、志望企業に強い関心を示す人ならではの質問をぶつけるのがおすすめです。
また、明確な根拠と自信がない限り、経営に対する安易な分析も避けたいところです。
転職市場は常に買い手市場?
転職市場をめぐってはここ10年、求職者に有利な「売り手市場」が続いていたといわれます。
ところが、有効求人倍率は2018年の1.61倍をピークに2019年、ついにマイナスに転じ、2020年は月ベースで減少の一途をたどっています。
20年8月に至っては、1.04倍にまで落ち込みました(20年10月時点での最新データ)。
ただ、有効求人倍率はマクロからみた市場の傾向管理に用いる物差しで、再就職を目指す者にとっては尺が大きすぎる代物です。
むしろ我々40代が注目すべきは、雇用のミスマッチによる人材不足が慢性化している点ではないでしょうか。
中小企業庁の調べによると、個人事業主を含む日本企業の数は、約358万9000社(者)あるといわれます(2016年実績、最新データ)。
いくら不景気でも「自分のスキルが役立つ企業などない」と考えるには無理があり、就職先は必ずどこかにあると考える方が自然です。
重要なのは環境ではなく、あくまでも「求人」と「企業ニーズを満たす雇用」とのマッチングです。
「不景気の時こそ優秀な人材を確保するチャンス」として、採用意欲を高める企業があるのも事実です。
また、優秀な人材の調達に腐心する「零細企業」など、案外知られていない狙い目もあります。
とくに求人誌は、ハローワークや転職エージェントがカバーしていないニッチな求人もあり、目を通しておいて損はありません。
どうか必要以上に悲観的にならず、自信の経験・スキルが役立つ企業を見つけ出し、第二の人生を勝ち取ってください。
40代転職 面接失敗の理由と打開策 まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は40代退職者が転職活動で犯しがちな失敗とその打開策についてまとめました。
まとめは以下の通りです。
- 転職活動には選考通過率を高める「コツ」が存在する
- 企業研究と自己分析は必須
- 企業研究は採用担当者への電話問い合わせが最も合理的
- 職務経歴書は書類審査に用いられるため手抜きは厳禁
- 職探しは各種の条件よりも「自身の資質」を元に絞り込むと合理的
- 手あたり次第の応募は悪循環に陥りがち
- 問い合わせの段階からマナーには注意を
- 有効求人倍率の低下を嘆くよりも「雇用のミスマッチ」に着目した戦略を
- 日本企業の数は350万社を超えるため、必ずどこかに働き口はある
最後までお読みいただき、ありがとうございました。