単なる迷信とバッサリ切り捨ててしまうには、少し気になる厄年――。
不信心な傾向が強い日本人にあって、厄年は、信じる人が多いジンクスのひとつです。
とくに周りから「悪い体験談」などを聞かされると、なかなか不安がぬぐい切れないもの。
とりわけ男性の場合、40代の本厄は「大厄」として最大限に注意が必要な年に位置付けられ、その関心も一段と高まる傾向にあります。
なかには「験(げん)が悪い」ということで、転職や独立に急ブレーキを踏む人がいるほどです。
ただ厄年は、本当に悪いことが起きやすい年齢に重なるものなのでしょうか。
かくいう私は元全国紙記者、妻子持ちにして40代での退職経験者です(最下段にプロフィル)。
現役時代は公益事業関連の担当が長かったものの、神社やお寺の取材にも幾度となく携わっています。
プライベートでの神社仏閣巡りはさらに充実していて、北は北海道から南は沖縄まで、これまでに巡った寺社の数も500社は下りません。
実はこっそり神社系ブログも運営しています。
そんな経験を生かして今回は「厄年との向き合い方」についてまとめました。
また厄年をめぐる40代の体験談や厄除け・厄払いに強い神社の見分け方などの情報もご紹介します。
Contents
厄年の本質は「節目」
そもそも厄年とは何か。
もちろん、科学的な根拠はありません。
神職や僧侶、易者らの話を総合すると、経験則にみる人生の大きな転換期、あるいは人生の節目というのが厄年の本質です。
ネガティブな側面ばかりが強調されていますが、「星まわりが悪く運気が下がる」というよりは、「積み重ねてきたものが出る」という面が強いとみられます。
今回、20人の友人らに改めて厄年にまつわる出来事を聞いてみましたが、降りかかった厄災はいずれも「自分で蒔いた種が多い」といえそうです。
つまり厄年に早期退職しても、失敗するリスクが高まるわけではありません。
もし厄年を理由に「自分のこれから」を決めかねている方は、神社で厄除け・厄払いのお祓いを受けてみてはいかがでしょうか。
厄年のイロハについて
ここで少し厄年についておさらしてみたいと思います。
ポイントは大きく以下の3つ。
- 厄年は年齢で決まり、通常「数え年」で示される
- 厄年は前厄、本厄、後厄と3年連続で続く
- 対象となる年齢は男女で異なる
2021年は、40代男性のなかでも1981年生まれの人が「前厄」、1980年生まれの人が「本厄」、1979年生まれの人が「後厄」に当たります。
とくに40代の本厄は「大厄」に当たり、要注意とされます。
ねこ吉
みふき
ねこ吉
みふき
男性
前厄 | 本厄 | 後厄 |
24 | 25 | 26 |
41 | 42 | 43 |
60 | 61 | 62 |
(※数え年、太字は大厄)
女性
前厄 | 本厄 | 後厄 |
18 | 19 | 20 |
32 | 33 | 34 |
36 | 37 | 38 |
60 | 61 | 62 |
(※数え年、太字は大厄)
40代サラリーマン 厄年について聞く
厄年を気にする人は、どの程度の割合でいるのでしょうか。
読売新聞の世論調査をはじめ、ちまたのアンケート調査を調べてみると、「気にする人」の割合が「気にしない人」に比べて若干下回っています。
ざっと見る限り、「気にする人」が4割、「気にしない人」が6割といったところでした。
ただ40代に限定すれば、気にする人が一気に増えるに違いありません。
そこで厄年に関連し「祈祷を受けたかどうか」、「何か悪いことは起きたか」など、40代男性の友人20人に直接話を聞いてみました。
※20人中18人が厄年を経験済み。残り2人は本厄のさなかにある40代男性。
厄年のイメージ
「厄年はどんな年か」の理解を尋ねてみたところ、圧倒的に多かったのが「健康面で注意が必要な時期」という認識でした。
「老化の入口」「災いが降りかかる年」との理解がベースにあり、とくに「厄」という字が一段とマイナスイメージを強めているようです。
一方「厄年が気にならなかった」という答えた人は20人中3人。
「かなり気にした」は5人、「少し気になった」は12人となり、無視を決め込む人が少数派という結果に。
とくに厄年に起きた怖いエピソードを見聞きした人ほど、厄年の影響を警戒する傾向にありました。
厄除け・厄払いの祈祷について
前厄、本厄、後厄のうち、1度でも神社やお寺で厄除け・厄払いの祈祷を受けたと答えた人は、20人中16人(予定含む)。
8割の人が祈祷を受けた計算になります。
日本人は神仏の加護よりもバチを信じる傾向が強く、厄への信仰もそうした心のありようを映し出したものとみられます。
3年連続で祈祷を受けた人の数も予想に反して多く、6人に達しました。
その一方で、20代の厄年(24歳、25歳、26歳)に祈祷を受けた人は1人にとどまりました。
祈祷を受けた動機・理由
神社やお寺で祈祷を受けた動機はさまざまです。
- 気持ちをスッキリさせたかった
- 転勤を受けて
- ガンが見つかったので
- 病気や怪我が絶えなかった
- 親や妻に促され
- 運気アップを兼ねて
- 妻の厄年に義理の父が亡くなるのを経験したため
- 友人のすすめで
- 慣習に従って
- 神仏の存在を信じているから
家族に促されて祈祷を受けた人が多かったほか、悪い出来事の後神社や寺に駆け込んだ人も目立ちました。
厄年に起きた出来事
厄年に大きな不幸に見舞われた人や危ない目にあった人は意外に少なく、6人でした。
- ガンが見つかり手術した(その後祈祷)
- 病気や怪我が絶えず(その後祈祷)
- 妻の浮気が発覚した(祈祷なし)
- 事実上の降格人事で異動になった(祈祷なし)
- 身内の不幸が続いた(祈祷を受けた後)
災難に遭った人も結果的には無事に乗り切った形です。
40代の厄年 私の体験談
私が20年以上勤めた新聞社を退職したのも実は厄年のさなかでした。
当時は全国・日刊発行の新聞社で記者を務め、キャップとしてチームをまとめていました。
退職理由は一言では語れません。
上司との軋轢、社内の評価、汚れ仕事への不満、重責へのプレッシャー…。
それこそ理由を挙げると切りがありませんが、厄年という時期的な問題も含め、退職への決断を下すまでに随分悩みました。
ただ、いま思えばばむしろ「最良のタイミング」だった気がします。
少なくとも「もう一度古巣に戻りたい」と思ったことは一度もありません。
もしいま進むべき道に迷いがあるのなら、焦らず、恐れず、あらゆる可能性を見極めた上で判断することをおすすめします。
進も戻るも、腹をくくりさえすれば、いずれも前向きな選択になるはずです。
厄年の転職は祈祷を受けておくべき
転職を視野に入れているものの、厄年を理由にイマイチ踏み込めずにいる方は、神社で祈祷を受けてみてはいかがでしょうか。
信じる、信じないは抜きしても、気持ちの面でスッキリするのは間違いありません。
ただし、適当に選んで行くのは避けた方が無難です。
この手の願掛けは、不安材料を極力少なくし、厄に付け入る隙を与えず、自分にも言い訳の余地を与えないようにするのがコツです。
神社は全国に約2万社あるといわれますが、なるべく厄除け・厄払いに強い神社を選んで参拝するのがおすすめです。
厄除け神社の見分け方
厄除け・厄払いに霊験があるとされる神社の特徴は、大きく2つあります。
- (都や王城からみて)鬼門・裏鬼門の方角にある「鬼門封じの神社」
- 「素戔嗚尊」(すさのおのみこと)など厄災を払う神様を祭る神社
たとえば神社の総本社が集中する京都では、鬼門封じの社として知られる「石清水八幡宮」、平安京を守護する「八坂神社」などが挙げられます。
「個別にしっかりお祓いしてもらいたい」「ピンと来るところがない」と迷った時は、自宅最寄りの神社で祈祷を受けるのも手です。
最寄りの神社は「氏神様を祭る神社」として、いわば守護神のような位置づけになります。
いずれにしても、自分にとって納得のいく寺社というのが紛れもなく正解です。
石清水八幡宮
1000年以上前に平安京の裏鬼門に築かれた神社で、伊勢神宮に次ぐ「国家第二のの宗廟」といわれる。
歴代天皇が必ず一度は参拝するほど格式が高く、石清水八幡宮の田中名誉宮司は神社本庁総長も務めている。
パナソニックの創業者・松下幸之助をはじめ、関西財界からの崇敬が厚い。
厄除け・厄払いにご利益のある神社として有名で、地元では親しみを込めて「はちまんさん」と呼ばれている。
八坂神社
全国に約2300社にある八坂神社の総本社に当たり、日本を代表する厄除けの神社として知られる。
主祭神は、ヤマタノオロチを退治した素戔嗚尊(すさのおのみこと)。
厄災を鎮めるために始まった祇園祭で有名だが、創建には諸説あり、奈良時代の高僧「円如」によるものとも、渡来人の伊利氏(いりし)ともいわれる。
また本殿直下に「龍の棲む池がある」との伝説もあり、パワースポットとしても知られる。
おさらい
- 厄除け・厄払いの神様といえば素戔嗚尊(八坂神社系列)が代表格
- 鬼門封じの社も有力。関東圏でみれば江戸城を守護した「日枝神社」のイメージ
- 氏神様を祭る自宅最寄りの神社もおすすめ
服装・時期・相場について
厄除け・厄払いのご祈祷を受けるときは、一般的に昇殿参拝になります。
そのため服装として好ましいのは正装。
男性であればスーツにネクタイを着用するのがベターです。
また厄除け・厄払いの祈祷を受ける時期については、元旦から「節分」までの間というのが好ましいとされます。
期日となる節分は、季節を分けることを意味する日であり、明るい時間が加速度的に増していくタイミングに重なります。
このあたりにも、厄年の起源とされる陰陽道の痕跡がみてとれます。
ただ「厄」は地域によって時期や考え方が異なり、たとえば沖縄では自分の干支(十二支)に合わせて厄除け・厄払いを行う風習があるそうです。
厄除け・厄払いの祈祷は一年中受け付けているため、「是が非でも節分までに」と神経質になる必要はなさそうです。
なお相場については、5000円~1万円といったところです。
40代厄年の退職・転職はNG? まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は40代の厄年をテーマに執筆しました。
まとめは以下の通りです。
- 厄年は経験則にみる人生の大きな転換点
- 厄年に退職しても失敗のリスクが高まるわけではない
- 2020年は1980年生まれが「前厄」、1979年生まれが「本厄」、1978年生まれが「後厄」(男性)
- 一般的なアンケート調査では厄年を気にする人が4割、気にしない人が6割ほど
- 筆者の周りでは8割方がお祓いを受けていた
- おすすめは「鬼門封じの神社」と「素戔嗚尊」(すさのおのみこと)を祭る神社
- お祓いを受けるに当たり男性はスーツにネクタイを着用するのがベター
- お祓いの相場は5000円~1万円
最後までお読みいただきありがとうございました。